2007/07/03

禁煙運動の高まり

このところ喫煙者には年々厳しさが増している。少し前に名古屋市内のタクシーが全面禁煙になったとニュースで見た。名古屋以外にも大分県や各地方自治体での規制が増えてきている。自分はタバコを吸わないので問題は無いが喫煙者には厳しい時代になってきたようだ。

ヨーロッパでは以前からかなり厳しい状態が始まっている。アイルランドは数年前からパブやレストランでの喫煙が出来なくなった。イギリスでもスコットランド、北アイルランド、ウェールズでは公共の場での喫煙が禁止されている。そしてこの7月からイングランドでも禁煙法が施行された。

非喫煙者を間接喫煙の被害から守ることを目的として法律で、禁煙の対象はパブやレストラン、映画館、オフィス、ショッピング・センターなどのほか、仕事に使う車も含まれると言ったかなり厳しいものだ。なにせ自宅以外で屋根のある場所はみな禁煙である。

先進国でタバコに対する規制が一番緩いのが日本だそうだ。WHO(世界保健機構)は日本政府の禁煙に対する取り組みが充分ではないと報告している。

どこの国でも税収確保は重要な課題である。タバコ税はその中でも税率が高く酒税やガソリン税よりも率で云えばはるかに高税率が掛けられて居る事になる。

欧米におけるタバコ税は日本とは比べ物にならないほど高い。この様な高税率になった背景にはタバコを規制して無くそうと言う政策が働いている。

タバコが原因で引き起こされる色々な健康被害が報告され、アメリカではタバコ会社に矛先が向けられ高額な賠償の訴訟裁判が起こされている。そして判決ではタバコを吸わない自分にも理解に苦しむ程の賠償金額が認められるなど喫煙に対しては厳しい目が向けられている。

吸わない自分が何故理解に苦しむのかと言えば、訴訟を起こした人達のほとんどはタバコが健康に与える危険さを承知で吸っているはずだと考えるからだ。ところが自身が何らかの病気になった途端に被害者としてタバコ会社を相手に裁判を起こすと言うこの感覚である。その上、裁判でタバコの危険を納得して吸っていたはずの人が勝ち、高額な賠償金を受け取ってしまうと言う事など日本やヨーロッパの国では先ず考えられない。

アメリカと言う国はある意味で裁判天国なのかも知れない。優れた弁護士を雇える裕福な人間であれば殺人罪を犯しても無罪を勝ち取れる事を幾つかの例で証明している。刑事判決で無罪となった同じ被告が民事裁判では賠償金を取られると言う矛盾も現実に起きている。

現在の欧米で売られるタバコにはどれもかなり大きなスペースで喫煙が健康に与える危険度を表示する事が義務付けられている。そしてタバコの値段も日本のそれの何倍もの高額な値段が付いている。ロンドンで売られているタバコの正確な値段は自分が吸わないので確かではないが、20本入りの場合£5(1,200円)はする。これでも北欧の国から比べれば半額以下と聞いた。 

これらの国でどれほどタバコの税収が減ったかは不明であるが、例えタバコの販売数が減ったとしても税収はそれに正比例して減るわけではない。なぜならば減った数よりも1本あたりで増えた課税額がかなりの割合で相殺できるからである。北欧のように高福祉国家であれば医療費に対する国家負担も無視できない。タバコが原因による健康被害者が減る事により医療費の国家負担を軽くできるわけである。

自分はモーターレースが好きでグランプリやWRC(世界ラりー選手権)もTVでよく見るが、これまで最大のスポンサーであったタバコ会社による広告が競技車両のF1やラりーカーの車体に出せない事が決まり、車体の色も今年から大きく変わってしまった。

昨年まではEU圏内やアメリカに於けるグランプリやラりーではスポンサーの名前を消した車両が走っていたが、日本や中国等規制が緩やかな国では相変わらず重要なマーケットであることから堂々と文字やロゴを車体に表示しているのを見かけた。

この様な姿勢がWHOをして日本がタバコ規制のゆるさを指摘されている所以であろう、先日のニュースで日本人男性の喫煙者が40%を下回ったと発表していたが、これなども小生にとっては未だそんなに吸う人が居るのかと驚きの方が印象として強かった。

日本のホテルで驚く事は禁煙室の無いホテルが地方には未だ有るという事だ。自分の経験で驚いた事は禁煙室として通された部屋に灰皿とマッチがテーブルの上に置かれていたことだ。当然レセプションに苦情を言ったが小生の入室前に消臭作業を確かにしたと言うだけの返事だった。

タバコを吸わない人間の状況を全く分かっていないか、または完全に無視しているのかは判断できないが世界広しと云えども灰皿とマッチを備えた部屋に「禁煙室です」といってゲストを通す国は日本くらいのものではないか!この件に関して日本の現状は途上国以下の状態にあることは残念ながら認めなければならない。勿論日本も大都市においてはこの様な事は無いのであろうが。

あるとき日本国内で禁煙の高速バスに乗った。バスの最後尾に乗っていたが明らかにタバコの臭いがするのでよく見ると前方でタバコの煙が見えるではないか。運転手も他の乗客も何も云わないので小生が『タバコやめろ』と言うと慌てて消した。

バスが終着駅に着くと先程のタバコを吸っていた、いかにもヤクザ風の男が『文句を言った奴は誰だ』と後を見回しているので、自分が『オイ、俺だ俺だ!何か文句があるか』と言うと何も言わずに下りていった。下りる時に小生がバスの運転手に『貴方が注意するべき事でしょう』と言ったが運転手は『すみません』と言うだけだった。 

日本の社会が持っている『事を荒げたくない』と言う一つの特徴かも知れない。どこの国でも争いは嫌なはずである。しかし欧米は同時に権利意識も強く自分の不快や被害には声高に権利を主張をする事も事実である。この事がタバコ離れに拍車を掛けている事も要因の一つではないかと思う。いずれにしても喫煙者には住み辛い社会になっていく事はこの先避けられそうも無い。

喫煙者の方には同情するがこの様な事態が進行している現在、思い切ってタバコをやめるという決断も考えられませんか?

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