2007/06/28

大きな成果を収めたヨーロッパ大会

先週末の23日〜25日、3日間に渡ってイタリアのノルチャで催された2007年度のヨーロッパ大会と講習会に行って来た。

ヨーロッパ大会は青坂先生と小生が80年代から始めた大会で、ヨーロッパで少林寺拳法を修練する拳士を対象にした4年に一度催される大会である。

初めのうちはフランスやイギリスの10周年とか15周年記念にあわせてやっていたが、定期的にヨーロッパの拳士達を対象にした大会も必要ということで青坂先生と相談の結果、国際大会の2年後に行うようになった。

又国際講習会も同時に催されるようになり、普段顔を合わせることの無いヨーロッパの拳士達が回が増す毎に参加者が増えてきた事はこの道を普及しようとする我々にとっては大変喜ばしい現象である。

イタリアがホスト国となったヨーロッパ大会は今回が初めてである。これまでにもヨーロッパ講習会などを催した経験は有ったが大会は今年が初めてであった。大会会場となったノルチャという町は古い街で、首都ローマから北東に位置し、バスで移動した我々は3時間くらい掛かった。

小生は講習会でこの町を訪れた事が過去に2度ほどあるが山の中にある街であるため大きな市では無い。この街はイタリア人が観光で訪れる様で歴史的な街の雰囲気を至る所で見かける。丁度英国に於けるコッツ ウォールズの村や街の様な存在の場所なのかもしれない。



イタリアは何時訪れても楽しい国である。先ず食べ物が美味い。『イギリスから出かければどこでも美味いだろう』と云われるかも知れないが、街で見かける小さなピッツリアのピザでも美味い。

始めの2日ほどはそれが良かったのだが、さすがに3日目くらいになると日本人はご飯が恋しくなる。青坂先生などは『お茶付けが食いたい!』と食事の度に零していたが、それは何も青坂先生に限った事ではなく自分もさすがにその頃には肉中心の食事には飽きて来た。

アンチパスタ(前菜)から始まる食事はパスタ、メイン(肉料理)と続きデザートとエスプレッソが出る頃には苦しいくらい満腹状態である。しかし毎日肉料理は本当に辛い、野菜料理は見事に出なかった。

アンチ パスタもプロシュート(生ハム)やサラミ等の肉料理だし、パスタはペンネやスパゲティー等の麺類でトマト味がベースで美味いけど辛い状態になる。海から遠いノルチャの街の事情も大きく影響している事は確かである。しかし野菜くらいはふんだんに出して欲しいものだ。最終日には何とかサラダも出てきたが、ともかく『お茶付け』と叫びたい気持ちは痛いほど共有できた。

ローマに移った最後のディナーは海老やイカ、魚の料理が専門のレストランに行ったが肉料理に辟易していた我々日本人には最高の料理だった。

大会は開催都市のノルチャが後援して大きく盛り上がった。600名を超える拳士の参加はヨーロッパでの大会や講習会に於ける参加人数としてはこれまでの最高を記録した。

22日ノルチャに到着した我々は市庁舎の前にある広場で参加国の拳士達が国旗を先頭に、異なった色のTシャツを着て行進し、見ていた市長をはじめ観光客も大いに喜んでいた。

ノルチャと言う小さな町にヨーロッパは元より日本、ロシアそしてアルゼンチンと言った国から参加した拳士達によって繰り広げられる踊りや音楽がそれらを盛り上げるのに大いに役立ったことは云うまでも無い。市庁舎のバルコニーから挨拶に立った宗由貴WSKO会長にも沢山の拍手が送られていた。

このような催しをさせるとイタリア人は天才的だ。盛り上げる事が実に上手い。ヨーロッパ大会も非常に成功だった。パソコンをリンクして集計から順位決めまで実に効率良く大会を進めて行く。これはヨーロッパの国では最初に全国大会を開いた英国より現在でははるかに運営が上手だと認めなければならない。

英国連盟も昨年から年間行事として大会を復活させているが、一度中断していた大会の運営と言うものが時間の変化と同じで現在ではなかなか効率的な運営と言うものが難しい。そこへいくと92年から毎年全国大会を運営しているイタリア連盟は今では参加拳士も多くなりヨーロッパでは最も大会運営が上手な国になったと思う。

        

大会の会場は日本やインドネシアと異なり、柔法マットの様な物を演武をする全てのコートに敷いて居る。その為どうしても派手な投げ技が多くなる傾向は否めない。主審をして気付いたが、級の女子拳士でも有段者の拳士の真似をし派手に飛んでいるのだが、膝から着地している様な場面に何度か出くわした。これは世界大会では出来ない演武だなと思ったが、他のヨーロッパの審判達には受けが良かったようだ。

フランスでの大会もマットを敷いていたがラテン系の拳士達にはこの方が好まれるのかも知れない、英国は初めから日本と同じコートと言う理由でマットを敷くことは無いが、これに慣れた拳士達にとっては早い動きの突や蹴からの柔法が難しい(足場が不安定に感じ)と言う不満も英国や北欧の拳士から聞いた。国際的なルール改定が進む中では重要な案件になる事も充分予想される。

少林寺拳法創始60周年を記念する今年、ヨーロッパ大会を成功に導いたイタリア連盟は今後益々自信を深めて行く事であろう。我々も負けては居られない。英国連盟拳士が一丸となって発展させて行かなければならない事を今回のヨーロッパ大会は指し示してくれた。

今一度大会の運営に裏方として大きく貢献したイタリア連盟の拳士達に『大会の成功おめでとう!』と同時に『有難う』とお礼を言いたい。



8 件のコメント:

  1. 合掌

    福井高専支部の堀井と申します。

    ヨーロッパ大会ならびに講習会では、お世話になりました。初日の講習会で初めて指導をしていただくことができ、本当に感激したことを覚えております。

    空港でお会いして、是非、改めてお話をさせていただければと思っておりましたが、フライトの関係でご挨拶だけにとどまりましたことが、残念でなりません。

    ヨーロッパ大会にまだ心が残されているような感覚で、インターネットをさまよっていたところ偶然にも水野先生のブログにたどり着くことができました。

    ヨーロッパ大会ですが、イタリア連盟の拳士の方々の運営には、先生と同じく感動を覚えました。本当に、心に響く演出を行うのがうまく、これでもかという感動の連攻に初日からノックアウト状態でした。

    食事もとてもおいしく、ここでもノックアウト状態でした。しかし、水野先生と同じく、途中で無償にみそ汁が飲みたくなり、日本より持参したインスタントみそ汁を飲んで、お腹にリセットをかける必要がありました。

    我々も福井で行われた2005年の国際大会での運営が思い出され、イタリア連盟の拳士がこれまで行って来た準備を考えると、その大変さに共感できるものがありました。また、大会が成功に終わり、その後の晴れやかな表情に、また感動してしまいました。

    今は、日本に帰り、ノルチャで買ったサラミを食べながら、大会での思い出に浸っているところです。

    私は初めてのヨーロッパ大会ならびに講習会参加ということもあり、やや緊張しながらの参加でしたが、始まってみれば、やはり少林寺拳法。言葉だけでなく、技のやり取りを通じて、交流ができる幸せを感じました。

    日本では味わうことのできない経験も体験させていただき、完全に病み付きになった自分がおります。

    また再び、渡欧させていただきたいと願っておりますので、その折は再びご指導ならびにお話をさせていただければと存じます。

    ありがとうございました。

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  2. 堀井 拳士殿

    長旅ご苦労様でした。
    ローマの空港ではチェックインに思わぬ時間が取られ話も出来ずに残念な思いを致しました。 帰国後にこのブログを見つけ早速に書き込みをしていただき感謝しております。
    それにしても楽しいヨーロッパ大会でした。ノルチャの街が多度津化していたのも今にして思えばこの大会と講習会が如何に楽しいもので有ったのかと言う事だと思います。
    それに付けても帰りのローマの気温42℃には閉口しました。 ロンドンは今日
    最高気温でも20℃くらいですから昼間でも小生はラグビー シャツ(長袖)を
    着ておりました。 ローマの気温は異常でしたがこの時期に20℃と言うのも過ごしやすさは別としても今一つ寂しい感じです、やはり夏は暑いほうが小生のようにアフリカ系体質の人間には合っているようです。
    今度は是非一度ロンドンにも来てみては如何ですか、イタリアとは又違った楽しさも味わえる事と思います。
    又会える時を楽しみにしております、時々はこのブログにコメントをして下さい。

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  3. 堀井です。

    ロンドンは、20℃なのですか。ローマの42℃にはまいりましたが、20℃ですと朝晩は逆に肌寒い温度となりますね。

    実は、ロンドンには3回訪れたことがあり、14年前に初めて訪れた際に気に入ってしまい、その後の新婚旅行では、ロンドンから車を借りてコッツウォルズから湖水地方を旅しました。イギリスは、最も好きな国の一つです。

    その当時は、海外の支部で少林寺拳法の練習をするということは、自分の中では切り離されたものでした。しかし、今回のヨーロッパ大会で、海外の拳士の方々と拳を交えながらコミュニケーションをするということが、普通に観光する以上に楽しいということを気づかされました。

    機会がありましたら、是非、先生の道場にもお邪魔させていただければと思います。これからは、講習会などの情報を、こまめにチェックしていこうと思っています。

    ブログの更新も楽しみにしております。

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  4. ヨーロッパ大会、たいへんお疲れ様でした。
    英国拳士にとっては、他国の拳士と交流することはもちろんですが、英国の食事から逃れることができるチャンスとしても、とても楽しいことでしょうね。(水野先生にとっても!?)
    余談ですが、さる6月17日に愛知県大会があり、私と息子で親子演武に出場しました。はじめて息子と経験する晴れ舞台、緊張しましたが、とても楽しく参加できました。英国で先生に抱っこされていた息子も一人前にやれるようになったと思うと、感慨深いものがあります。

    また、本日、おかげさまで私もようやく黒帯を取ることができました!
    Danceworksに通いだしてから6年、大学で拳法と出会ってからは実に22年もかかってしまいました!"late bloomer"にしてもちょっと他にはない遅さですが…
    これも水野先生に少林寺拳法の楽しさを教えていただいたお陰と感謝しております。
    これからもよろしくお願いいたします。

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  5. ご無沙汰しております。
    ヨーロッパ大会おつかれさまでした。
    先日、四段試験の為に、約10年ぶりに帰山しました。その際、総裁がヨーロッパ大会に行っていらっしゃると聞き、大会の存在を知りました。
    写真を見ているとイギリスのサマーキャンプを思い出します。時間があれば参加したいんですが。
    また、今回の大会のことなど先生の聞ける日を楽しみにしております。
    マサヒコ

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  6. 堀井 拳士殿

    海外の練習に限った事ではなくどこの拳士との交流も楽しいものです、英国連盟の拳士には渡航の折には現地の支部があれば参加して交流をするように勧めております。そんな事が小さな事かも知れませんが相互理解の第一歩になるような気がします。少林寺拳法の組織は世界で只一つと自負している訳ですからこれも拳士のアドバンテージ(拳法をやって良かった)と感じられる事ではないでしょうか。これからも積極的な交流をされる事を期待しています。勿論
    英国連盟への参加も歓迎します。

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  7. Go 拳士殿

    初段の合格おめでとう御座いました。又県大会に息子さんとの親子演武は素晴らしい体験だった事でしょう。これからも親子で少林寺拳法を楽しんで下さい。
    Goさんの頑張りが息子さんとの演武と言う新しい発展に繋がった事を心より嬉しく思っています。

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  8. マサヒコ 拳士殿

    4段おめでとう、久しぶりの本部はどうでしたか? イタリアはこの時期に行くところではないのかもしれません。食事のおいしさは別として40℃を超える
    ローマの気温は観光を楽しめる様な雰囲気ではありませんでした。大会は大いに盛り上がり成功だったことはここに書いたとおりです。又会った時に詳しく話しましょう。

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