2007/06/25

刺青とタトゥ

日本社会で刺青をしていると一般社会ではなかなか受け入れられない。
就職なども一般的に難しい事であろうし、サウナや公衆浴場のように公共な場所では入場できない処がほとんどである。

ロンドンに住んでいると実にさまざまな人達が刺青をしている。
これはタトゥと呼ばれて若い女性でも平気で入れている。初めはオヤッと思ったがあまりにいろいろな人達が入れているのでそのうちに何も感じなくなった。

聞くところによると英王室は伝統的に軍隊に行かなければならないが、そこでの兵士に対する指揮官の勲章のような感覚で王室の中でもタトゥを入れている人が居ると聞いた事がある。

しかし一般的に見かける若者たちのタトゥは、日本のヤクザが入れる刺青とは全く違う安っぽい彫物である。

漫画のようなデザインがあったり、日本語の漢字が彫られていたりで、あるときイタリア人の拳士が"少林寺拳法"と漢字でタトゥを入れていたのを見て唖然とした事がある。

ガールフレンドかボーイフレンド等の恋人の名前をタトゥに入れている者もいるが、我々日本人の感覚からすると先ず第一印象が安っぽい。デザインもさることながら内容や漫画等とても刺青と呼べるような代物ではない。

しかし刺青は刺青である。タトゥはファッション感覚で気軽に入れるのであろうが、時代が変わって若いときに入れたタトゥが嫌になる事は無いのだろうか?この感覚だけは未だに小生には理解出来ない。

又彼等が日本に行って温泉やサウナ等に行った時、入場は拒否されるのであろうか?もし拒否されないならば刺青を入れたヤクザも入場を許されてしかるべきではないか。 

自分が子供の頃親から『決して大人になっても刺青など入れてはいけない』と強く諭された記憶がある。

それ事態がすでに古い考え方なのであろうか? 現在の若者がファッション感覚でタトゥを入れて楽しんでいる事をとやかく言うつもりは無い。しかしどう考えても一度刺青として入れてしまえば、それが死ぬまで消えない(手術で消せるとも聞いたが)事を考えるとそんなに簡単に自分の体を落書き帳にしたいとは思わない。

落書き帳とは言い過ぎに聞えるかも知れないが、漫画や自身で読めない漢字等、それも子供が書いたような字や絵であればなおの事そう思えてならない。

その点日本のヤクザがする刺青には一応ポリシーらしきものがあるように思う。彼等が入れる刺青はそのほとんどがプロの刺青師によって手で入れられたものである。若者が機械で簡単に入れるタトゥとは同じ刺青でも全く異なる。

芸術性も重要であろう、見るからに安っぽい図柄(漫画等)は先ず対象になる事は無いであろうし。見た人が『この人は一般の世界の人では無い』と一目で分かる事も、彼等の刺青が持つ意味としては重要な要素であろう。

若者のタトゥに対する認識は彼等、彼女等のヒーローやアイドルの存在も大きな要素であろう。アイドル達と同じ様なファッション感覚で簡単に刺青をしているとしたら、あまりにも短絡的と言わねばならない。 

タトゥはイヤリングやネックレスの様に簡単に取り外しや変更が利かないことを認識しなければ、入れた後で後悔する事になると思うが。

3 件のコメント:

  1. 自分自身の経験として、イギリスの居た時にピアスをあけたことがありました。
    おそらく日本にいたとしたら、そういうことはしなかったでしょうし、実際、日本に帰ってきた時に中国の古典の一説を友人に贈られました。

    「身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるはこれ、孝の始めなり」
    (お前の身体は頭の髪から皮膚、足の爪まで両親から受け継いだものだから、不用意に傷つけてはいけない。自分を大切にすることが、そのまま親孝行である)

    ピアスの穴は時間が経てばふさがります。しかし、刺青やタトゥは消える事はありません。日本国籍を持つ人が、不孝をなしてまで我を通す意味が、未だに日本にずっと住んでいる私には理解できません。

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  2. Chun拳士殿

    何時も書き込み有難う、君の指摘の通りファッションとしてタトゥをする現代の若い世代に今一度考えてもらうのも良いのではと書きました。
    自分が少林寺拳法の指導者をしているのに海外の拳士が漢字で『少林寺拳法』とタトゥを入れているのを現実に見て、嬉しい気持ちは起きませんでした、むしろ違和感の方が大きく感じたほどです。
    ファッションそのものに意義を言うつもりは毛頭ありません、どうせするのなら誰もが美しいと思うデザインなり色なりを工夫するべきではないかと思います。読めない漢字(本人は読めるかもしれませんが)や下手な書体ではファッションとしてのセンスも疑われてしまいます。しかしこれらはあくまでも個人の問題ですから他人がとやかく言うことでは無い事も充分に承知しています。

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  3. 一口に「美」と言っても、個人個人や民族性、生活習慣、文化的背景、育った世代、環境、資質によってマチマチではないでしょうか?

    漢字をよく知らない欧米人にとっては、少し間違った漢字でも異文化を感じる美しいものに感じるし、アニメ世代の人間にとってはアニキャラが美の対象であったり、日本ではヤクザの象徴である和彫りも欧米人にとってはアートに感じたりします。

    それを他人がとやかく言えるものなのでしょうか?

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