2014/05/24

愛国心(Patriotism)と国粋主義(Nationalism)

良く似た意味を持つ言葉であるが、その意味するところは大きく異なる。

愛国心 Patriotismはそれほど抵抗なく受容できる言葉である。何処の国に生まれようと、又どの国に強く思い入れを感じようと人から非難される事は無い。 しかしながら国粋主義Nationalismは同じような意味合いを持っては居ても、受け入れる事がなかなか難しい言葉である。

一見同様に見える言葉ではあっても、両者は根本的に全く異なった意味合いを持って居る。愛国心は、自分の生まれた国や住んで居る国を愛する気持だ。そこには同時に他者(他国の人が同様に国を思う心)に対する理解も存在する。他方、国粋主義の根底には、自分達の国以外を認めない(他者を見下す)差別的な視線が含まれている。 

日本国内で行われているヘイトスピーチも、このところメディアを通じて海外で生活していても聞こえてくるようになった。残念ながらこれも愛国心と言うよりはナショナリズムといった方が正確であろう。

2014/05/02

何処へ向かうか少林寺丸

最近日本の友人達から少林寺拳法の道院運営に対する不満をよく耳にする様になった。現在の自分は日本の組織を離れた(除名された)身分であるから、その分意見を言いやすいのかも知れないが、事の発端はこの4月から始まった組織改革である。

少林寺拳法が誕生して60年以上が過ぎた。大きな発展を遂げた少林寺拳法の組織ではあるが、どうもこのところ組織が目指している方向性が見えなくなっている様に感じる。この4月から、道院運営に関して組織改革と呼ばれる新体制が導入され、宗教法人である以上、公共施設は使ってはならないという通達があったのだ。このため閉鎖に追い込まれた道院が幾つも有ると聞いた。

少林寺拳法という組織は、公私にわたって利益を度外視した各道院長の情熱で発展し、現在までそれが維持されてきた。と言っても決して過言ではあるまい。その最大の功労者に対して 「公共施設で宗教活動は出来ない。許可が取れなければ閉鎖しなさい」 では、あまりにも一方的である。道院長や拳士の個別の事情を無視した組織改革だと言わねばならない。

有名な言葉を思いだした。「国家は国民の利益の為に存在する、国家の利益の為に国民が存在するのではない!」 誰の言葉かは忘れたが、真理であろう。

これを参考にすれば「組織はそれを構成する会員の利益(利便)の為にのみ存在するが、会員は組織の利益の為に存在するのではない」と言う事もできる。これもまた真理と言えまいか。組織と会員の立場が逆転すると『カルト団体』と言われても仕方がない。