2014/05/02

何処へ向かうか少林寺丸

最近日本の友人達から少林寺拳法の道院運営に対する不満をよく耳にする様になった。現在の自分は日本の組織を離れた(除名された)身分であるから、その分意見を言いやすいのかも知れないが、事の発端はこの4月から始まった組織改革である。

少林寺拳法が誕生して60年以上が過ぎた。大きな発展を遂げた少林寺拳法の組織ではあるが、どうもこのところ組織が目指している方向性が見えなくなっている様に感じる。この4月から、道院運営に関して組織改革と呼ばれる新体制が導入され、宗教法人である以上、公共施設は使ってはならないという通達があったのだ。このため閉鎖に追い込まれた道院が幾つも有ると聞いた。

少林寺拳法という組織は、公私にわたって利益を度外視した各道院長の情熱で発展し、現在までそれが維持されてきた。と言っても決して過言ではあるまい。その最大の功労者に対して 「公共施設で宗教活動は出来ない。許可が取れなければ閉鎖しなさい」 では、あまりにも一方的である。道院長や拳士の個別の事情を無視した組織改革だと言わねばならない。

有名な言葉を思いだした。「国家は国民の利益の為に存在する、国家の利益の為に国民が存在するのではない!」 誰の言葉かは忘れたが、真理であろう。

これを参考にすれば「組織はそれを構成する会員の利益(利便)の為にのみ存在するが、会員は組織の利益の為に存在するのではない」と言う事もできる。これもまた真理と言えまいか。組織と会員の立場が逆転すると『カルト団体』と言われても仕方がない。

「会員」を「拳士」に置き換えてみれば、少林寺拳法という組織が今抱える問題の構図が良く分かる。「少林寺拳法連盟は拳士の利益の為にのみ存在するが、少林寺拳法連盟の利益の為に拳士が存在しているのではない!」これがあたりまえの姿である。

少林寺拳法と言う組織は大きくなり過ぎた。そのため組織の硬直化が生じ、本末転倒が起きて居る事に気が付いて居ない。あるいは気が付いては居ても真実を言う事が憚られる組織なのかも知れない。

「お前は組織外の人間だからその様な事が言える、組織に居る者はその様な批判を簡単には口にできない」とある友人から指摘された。

もっともである。これまでは組織は違っても直接的な批判は避けてきた。指導者の端くれではあっても、少林寺拳法に対する思い入れは人一倍強いと自負していたので、その敬愛する組織を簡単には批判する気持ちになれなかった事が原因だった。しかし今度ばかりは別である。開祖の意思を引き継ぐ事を誓った以上、その教えを出来る事から実践しようと心に決め、改める事にした。

「鶏口となるも、牛後となるなかれ」(鶏のトサカになっても、牛の尾っぽにはなるな)。法話で諭された諺である。長いものに巻かれるばかりで、真っ当な意見を平気で無視する様な組織であれば、今こそ道院長を返上するべき時ではないか。今一度開祖が法話で我々に残した言葉を噛みしめてみる必要が有るのではないだろうか。

現在の少林寺拳法と言う組織は、幕末の徳川幕府と良く似ている。当時の幕府内外には攘夷派も居れば改革派も居た。その葛藤(対立)が大きかった事で、明治と言う新政府が誕生した時には、当時世界中が巻き込まれた欧米帝国主義の植民支配を免れる事が出来た稀有な国である。

恐竜は環境変化に順応(適応)する事が出来ずに絶滅したと昔教わった。例えは極端かもしれないが、少林寺拳法と言う巨大な組織体も現代版の恐竜にならないと言う保証は何処にもない。明治政府が誕生した時のように組織の中から生まれ変わるエネルギーが出て来るのか、これからも注意深く見守って行きたい。 

ロンドンからエールを送りたい!「頑張れ日本の道院長」

結手

6 件のコメント:

  1. 本当にどこに進むんでしょうね?
    その様な話を聞くとほとんどの人が(言っても仕方がない、取り合ってくれない、決定事項だから)その様に聞こえてきます。それってもっと問題じゃないですか!
    みんなの話では(これからどうなるんやろね!)と言いつつも意見を出しても取り合ってくれないと聞きます。
    なんでやねん!一拳士の意見も取り上げてくれないのか、耳を傾けてくれないのか・・・
    正義感と慈悲心と勇気を持った人がみんなを導いてくれると開祖は教えてくれました。
    その何十万部のお手伝いしたいと頑張っている道院長、支部長、監督のやるせない気持ちは何処へ持っていけばいいのでしょう。

    開祖の思いは私一人でも実践できるのではないか、みんなに認めてもらう必要はない!
    出来る事、思いたった事を行動していきます。
    その様に思いました「やれることをやる!」
    小さな行動を始めていきます。

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  2. 合掌
    「すべてのものは移ろい行く 怠らず励め」と釈尊が亡くなる前に言い残されたそうですが、我が少林寺もその言葉から逃れることは出来なかったように思います。少林寺丸に乗ってこのまま行くか 別の船に乗るかそろそろ乗り換えの港に着いたようです。各先生方が自分の意思でそれを選択するときが来たのです。宗教団体で納得される方、教育団体として世に認められたい方、人づくり国づくりのシステムの歯車で満足される方はどうぞそのままで。武道団体として厳しさの中で人格の向上を図られる方、自分の身を守る術を修練しながら不屈の心を鍛えて社会に役立つ人材の基礎を創る喜びを求められる方、汗をともに流すことでつながる心を感じられる方は、自らを灯火としてこの暗闇から抜け出る道を進む船に乗り換えてください。なければ造ってでも前に進むべきだと思います。

    ついに先生はこれまでの沈黙を破って、新しい道を選ばれたのだと推測します。われわれは決して対立を求めているのではありません。でもあまりにもずれてしまった道を避けて本道を歩きたいだけです。われわれは少林寺の私兵ではないのですから。
                                        結手       

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  3. 投稿有難うございました。

    合掌
    最初のご投稿に!
    返事が遅くなって恐縮です。

    組織を絶滅した恐竜に例えた事は、多くの日本の拳士が憤慨したかも知れません。 これは何も拳士達を批判したものでは無く、組織が健全に生まれ変わる事が出来るかどうかは、内部の拳士がどの様に感じ、判断して行動するかに掛かって居る事は事実でしょう。

    部外者がいくら批判しても、組織内の人が満足しているのであれば全く批判は当たりません。

    良くも悪くも少林寺拳法の指導者は、開祖宗道臣の影響を非常に大きく受けてきました。
    であればこそ我々拳士は開祖が残した教え(技術と哲学)こそが守るべき対象であり、それを具現化できない組織体が対象では無いはずです。

    『拳士の利益の為にのみ組織は存在する』と書きましたが、逆に拳士は組織に守られて居るばかりではなく、積極的に係る事によって自分達の環境をより良いものに変えて行く事が可能だと信じるからです。『自分は少林寺拳法の組織に守られて満足しているから問題は無い』と言う人には、私から何も言う必要はありません。
    結手

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  4. 投稿有難うございました。
    二番目の投稿者様

    メッセージ性の強いコメントです。ヒシヒシと伝わってきます。

    最後の言葉に伝えたい心が凝縮されている様に思いました。 『我々は決して対立を求めている訳では無い!』本当にそのとおりですね。 争う事が目的であればもっと別の方法も有る事でしょう。
     
    次の言葉も胸に響きました、『あまりにもずれてしまった道を避けて本道を歩きたい』、この言葉は言い換えれば『少林寺拳士としての王道を堂々と進みたい!』と私には聞こえました。 
        
    『自らを灯火としてこの暗闇から抜け出る努力』釈尊の教えそのものですね。 
    『抜け出る方向に進む船に乗り換えよ、無ければ造ってでも前に進むべき』これこそまさに『己こそ己のよるべ、己をおきて誰によるべぞ』だと思います。
    結手

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  5. 合掌
    松井と申します。
    はじめまして、私は学生時代少しだけ少林寺拳法をかじりました。
    今は、全く修業していませんが、先輩後輩の繋がりは
    今も続いおります。
    今でも宗道臣イズムは継承しているつもりです。
    さて、諸先輩方から今の状況を聞いております。
    水野先生のことも勝手ながら心配しておりました。
    今現在、開祖をはじめ古い先生方ようなカリスマ的な指導者がいなくなってきた今、少林寺拳法の行く先が心配でなりません。
    私の大好きな少林寺拳法は肉体も精神も組織においても抜群に強いものです。
    開祖は同士、愛親しみ、愛助けと教えたはず、また1人一説とも、本当に自信があって正義感があれば
    怖いものなんてないとも言ってます!!
    ただし行動するなら、一人では話にならん!!
    団体で行動しろ!!
    現、指導者の方々には申し訳ないのですが
    我、己の道を行くでは開祖の教えに反しないですか!!
    本当に正義の心をもって今後の少林寺拳法を考えるならば、今の本部にあなた方は間違ってると
    態度で行動で皆さんで同士で正々堂々やってみてはいかがですか?
    今の状況に開祖は悲しんでいると思いますが
    少林寺拳法は愛親しみ愛助け、協力して道のために……
    先輩方を応援しています!!
    結手







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  6. 松井祐一様 投稿有難うございました。
    投稿頂いている事に気が付く事が遅れカウンターが遅くなってしまいました、恐縮です。

    貴方の様に堂々と名乗って投稿頂いた事に心からの敬意を払います。又私個人にまでご心配いただきました事感謝申し上げます。同時に匿名での投稿者も真実を語る上では欠かせない存在である事も御理解頂けると思います、ご本人が特定されその方の不利益になる事を避けたいと願うからです。

    少林寺拳法を学生時代に経験され、それを自分の生き方の中心に置き、現在の少林寺拳法を憂慮されている気持ち良く分かります。私達も貴方と同様に宗道臣イズムは継承している心算です、であればこそ本道を歩みたいと願っているのです。

    相親しみ、相助け、相譲りを最初に投げ出したのは私達ではありません、現在の少林寺拳法本部です。この後の多くの投稿を読んで頂ければ、ある程度現在の状況を掌握頂けると思います。私もこの後に書いたブログにこれ程多くの投稿を頂けるとは、これを書いた時点5月2日には想像できませんでした。現在の少林寺拳法と言う体制は貴方が経験された当時のそれとは、残念ながら全く様変わりした組織になってしまいました。

    『今の状況に開祖は悲しんでいると思います』私も同感です、ここに投稿頂く拳士がおそらく同じ思いだと信じます。建設的な提案にも耳を貸そうとしない現在の体制にどの様に対処できるのか、残念ながら答えは見つかって居ません。

    又の投稿を期待しております。

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