つい先日英国車の代表ベントレー(スポンサー並びに技術はVWから借用だが)がコンチネンタルGT Speed を発表した。
スペックを見ると6,000ccの12気筒、最高出力は610ps最大トルク76.5kg 最高速度は322km/hらしい。らしいと言うのは自分で運転した訳ではないので発表されたデータを並べただけであるが、世界中でこのスピードで運転できる高速道路なんぞ無いと思う。速度無制限を誇るドイツのアウトバーンでさえこの様なスピードは無理であろう。
随分前の話で恐縮だが小生は実際のアウトバーンをメルセデスの190Eと言う車で1,500kmくらい走った事がある。時速200キロを超えるスピードも何度か試してみたが速度無制限のアウトバーンは意外にも2車線区間がかなりある。ただし1車線がかなり広い為追い越しでもそれ程緊張することは無かった。
合法的に速度無制限と云う事は、ある意味安全かもしれないと思った。それは運転に集中でき、それ以外のパトカーや取締りのカメラに気を使う必要が無いからだ。そんな200キロで走行している小生の背後から鼻先がくっつきそうになるくらい接近してパッシングを浴びせる車が少なからず居た。メルセデスの大きな奴がそのほとんどで自分より小さな車を蹴散らしているように感じたが、意外にも若者ではなく年配のドライバーが多い事にも驚いたが、若者にはビッグ メルセデスが買える層はドイツでも少なく金持ちのオヤジ ドライバーが我が物顔でアウトバーンを飛ばしていると言う感じで、なるほどこの国(ドイツ)では暴走族はオヤジか!と言うのがその時の強烈な印象として残った。
それから20年近くが経った昨今、車のパワー戦争は益々エスカレートしている。先に上げたベントレーばかりではなくジャグアのXKRクーペは426psのパワーと57.1kgのトルクである。メルセデス・ベンツS65 AMGに至っては612ps/102.0kgmを謳っているし、フェラーリ612スカリエッテはV12DOHC48バルブから540ps/60.0kgm、ランボルギーニ ムルシェラゴは6.5リッターV12DOHC48バルブ640ps/67.3kgm、そしてブガッティ ヴェイロンに至っては空前絶後の市販車(F1ではありません)W型16気筒4ターボチャージャーで8リッターの排気量により、最高出力何と1001ps!!!!、最大トルク1250Nmを発揮する。おったまげたマーク(!)が10個くらい必要ではありませんか?いったいこの様な車に誰が乗るのだろう。ここまでくると環境に優しいとか省エネだとかはバカバカしくてやっていられない、まったく別次元の話になってしまう。
人間の欲望がすべて悪いとは思わない。欲望があるからこそ人は色々な事に挑戦して成し遂げてきた。テクノロジーの進化や経済的目的による努力、科学的トレーニングによるスポーツ アスリートの記録更新などがそれである。
その様な車社会において環境破壊が叫ばれ、『人と車の共存がどう図れるのか?』が問われているときに奇しくも日本の誇るハイブリッド技術はそんな中にあって、環境に配慮した技術を売り物にして世界にアピールし成功したと思っていた。しかし最近発売されたレクサスのフラッグシップLS600hは5リッターV8DOHC32バルブから394ps/53.0kgm、交流同期電動機224ps/30.6kgmつまりパワーでは合計が618ps、トルクは83.6kgm単純計算のようには成らないのであろうが、これだけ見ればメルセデスのS65AMGも真っ青の力持ちではないか。
一体トヨタのハイブリッドは環境技術ではなかったのか? いつの間にやら環境技術を謳いながらパワー戦争の仲間入りでは余りにも節操が無さ過ぎませんか?ブガッティ ヴェイロンがおったまげたマーク(!)10個なら、レクサスLS600hは?が10個でしょう。