2020/03/28

新型コロナウイルスがもたらした世界の異変

現在世界中の話題を独占している大問題がCovid-19(新型コロナウイルス)である。中国 武漢から発症したウイルスは今や世界中に感染が広がり世界中のニュースは連日この話題に翻弄されている。

当初は中国から1月中頃にこの様なウイルスが武漢の市場で食用として取引される野生動物が原因で広まっていると紹介された。その時点ではその後これ程までに大きな問題になる事を指摘した論調は見られなかった。

しかるに中国の正月である春節辺りから東アジアでも話題になり始めた。後で分かった事は武漢の医師からこのウイルスの感染が昨年末には中国政府に報告されており、その後その医師は拘束され逮捕された事もニュースで知る事となった。2月にその医師が亡くなった事が知れ渡ると、今度はそれらの事実を隠ぺいした中国政府や共産党幹部に対する批判がSNS等で大きくなっていった。

2月に入り日本でも新型コロナウイルスの問題が取り上げられ始めた。中国はこれに先立ち武漢からの団体旅行を禁じる措置にでた、航空機や船舶でも中国からの団体旅行はそれを境にピッタリと止まってしまい、春節のインバウンドを期待していた日本の旅行業界からの悲鳴ともいえるニュースが伝えられ始めた。

イギリスに限って言えばそれまでの数か月はブレグジットが一番の話題であり、『今年の末までにEUとの交渉をまとめる事が出来るのか?』と言う様な論調が主なニュースであった。ところが武漢のウイルス問題が騒がれ始めると、この問題(ブレグジット関連)のニュースは消えてしまった。

イタリアの北部(ベニス、ミラノ等)で最初のアウトブレイク(集団感染)が伝えられると、瞬く間に患者がイタリア全土に広がってしまう事になり、その勢いはフランスやドイツそしてイタリアに次ぐ感染者を出すことになるスペインにも強烈なスピードで蔓延してしまった。当然の事ながら英国でもBBCのみならず全てのニュースメディアのトップは新型コロナウイルスで占められることが連日繰り返されるという前代未聞の状態となってしまった。その大きな原因の一つが、ヨーロッパの首脳達のみならずアメリカの大統領にまで『ウイルスとの戦争状態に入った』というフレーズが何度も聞かれた事である。

この様な状況は今年の初めには誰も想像すらつかなかったと考えられる。先程も少し触れたがこの武漢からのウイルスによりブレグジット問題は何処かへ吹っ飛んでしまった。 加盟国間の人、物、サービス、資本の自由な移動はEUの大きな理念(理想)であったはずだが、今回の新型コロナウイルスの拡散でいち早く各国が国境封鎖を始める事となり、自国民を除く人達は入国すら認められない!と言う国が殆どと言う状態になってきた。

只一つ今回のウイルス問題で救われたと解釈できることが有るとすれば、1月末にEUから離脱した英国には国内政策がいち早く実行できるようになったことが挙げられるのかもしれない。 首相のボリス・ジョンソンが表明した政府の方針『外出自粛・営業自粛を要請という「責任の曖昧なお願い」ではなく,営業禁止という政治的判断』をし,その責任として80%の給与保証をするという決断をしたことはのちには評価される事になるのかもしれない。

武漢発祥の新型コロナウイルスにより各国が抱える問題はこれからもしばらく続くことが予想される。くしくも先日『東京オリンピック2020』が延期される事が発表された。アメリカでも過去に例を見ない景気対策費として2兆ドル(220兆円)もの予算が民主、共和の党派を超えて採択される等と言う非常事態は、年初めには誰が予測できたのであろうか。

前代未聞の決断が要求される新型コロナウイルスが生んだ状況に日本のリーダーはどの様な決断を下すのであろうか?真価が問われている。