2014/03/20

世界で一つの少林寺拳法 その2

前回の報告では世界で一つの少林寺拳法と題して所見を述べたが、少林寺拳法が『一般名称』として認知された事は、確かに我々英国連盟にとって喜ばしい事には違いないが、果たしてその事のみをとらえて全てが満足できるか?と言う現実に立ち返って考えてみたい。

武道の世界を見渡せば分かる様に、空手や柔術と言った団体には様々なグループが存在している。これはそれらの武道が『一般名称』として認知されて久しい事にも起因するが、少林寺拳法にも将来的に考えれば同様な問題が発生しないとは言い切れない。

日本国内の空手団体を見渡しても、伝統空手のグループからフルコン系の団体まで数えればきりがない。中にはもともと少林寺拳法をやって居たグループも含まれている。空手を名乗る理由は少林寺拳法と名乗る事により英国連盟と同様名称問題で訴えられる事を恐れた結果であると充分に考えられる。又同時に空手といわれる武道が個々の名称問題にあまり関心が無く、比較的おおらかに新しいグループも吸収していった事が主な理由かもしれない。

今一つ気になる事を柔術を例に挙げて考えてみたい、英国には日本を起源とする柔術以外に、諸々の格闘技を寄せ集めた『Jujitu(じゅうじつ)』と呼ばれるグループが数多く存在している。 彼らは日本から伝わった様に演出する事には熱心だが、真の武道と言うものを全く理解していない事が様々な機会に散見される。 

2014/03/13

世界で一つの少林寺拳法とは

永らくこのブログから離れてしまったが、これを機会に又再開したいと思う。

ほぼ2年間に亘り投稿しなかった事には諸々の事情が有った。最も大きな理由は、英国少林寺拳法連盟の名称登録をめぐって、少林寺拳法ユニティとの間で生じた係争である。

経緯を簡単に述べるならば、話は今から5年前にさかのぼる。WSKO理事会に出席の為、2008年の12月に訪日した私に対して、渡航費の請求が不当にあたるとして理事会で糾弾される事となった。

私の解釈と本部の解釈とが異なった事が主な原因だったが、「もし組織に迷惑が及ぶと言うのであれば、WSKOの理事並びに指導員を辞任してお詫びをしたい」と申し出たため、いったん事態は収束に向かったはずだった。

しかし、翌年1月になるとWSKO本部から、「水野は謹慎処分中の身であるためBSKFのいかなる行事に出席する事も許されない」と全支部長に通達があった。 「あれ、まったく話が違うな」と思ったが指導員辞任を受け入れた訳だから仕方ないと判断し、2009年には講習会や会合には一切参加しなかった。

そんな中、2010年に英国連盟は新しい連盟規約の更新に踏み切った。その時点でのWSKO本部との確認事項は、連盟内で民主的に採択された新規約はWSKOも尊重するというものであった。 ところが新規約への更新には、WSKOの事前承認が必要という連絡が入ったため、英国連盟支部長会は俄然反発を強めた。

彼等英国人の認識では、国の法律に反しない限り、自分達の組織(BSKF)の規約においては英国法が当然の事ながら優先されるべきであり、それに反していない以上、民主的過程を経て採択された新規約は、当然の事ながらWSKOでも追認されると信じていたからである。

以上の経緯から、新規約を認めないとするWSKOとの軋轢は益々大きくなり、2010年3月3日、とうとうBSKFはWSKOから会員資格(国の連盟として)を剥奪されてしまう事態に至り、私も同時に除名処分を受けた。