2019/06/10

日本は世界の先進国?

多くの日本人は概ね『日本は世界の最先端を行っている』と信じている人が多いのではないか。確かに工業製品やファッション等を見ればそれも一理あると思う。しかしながら現実の社会で起きている実態を目の当たりにすると「?」と思わされることが度々ある事も何度か見てきた。

つい最近では日本政府からの要請(指導?)で携帯電話の料金値下げがあった。これ等も本来の自由主義経済の先進国であればとっくの昔に自由な料金設定が選べることが普通である。しかしながら日本においては大手の携帯キャリアが独占的に料金を設定し、談合ではないと思うが明らかに利用者不利の料金体系がまかり通ってきた。

日本国内に住む友人に携帯電話に掛かる料金を聞かされ『なぜシムフリーの会社に変えないの?』と質問したことがある。その時の友人は『シムフリー』と言う事自体が理解できなかった様であったが、日本ではこの様な選択が殆ど紹介されておらず、ほとんどの携帯ユーザーは大手キャリアの料金設定を疑いもなく受け入れていた事になる。

私もそれ程携帯料金に詳しい訳ではないが自分の携帯電話の料金契約はシムフリーであり、1か月の料金は£7.50≒¥1,050と言う具合で日本の様な金額とは大きくかけ離れている事は言うまでもない。この様な携帯電話のキャリア選択肢は英国では非常に多い。ワイフの契約もシムフリーで1か月の料金は£3.50 ¥490でありもっと安い事になる。

海外旅行等に出かけた人達は日本とはかけ離れた料金の安さや、自由な選択が出来る事に気が付いた人も居たと思う。しかしながら日本国内においてそれらの安い料金体制を選択する余地が無い事が今日まで続いてきたことになる。最終的には政府の指導により大手キャリアがしかたなく従う構造(?)にはもしこのまま政府が動かなければまだまだ大手キャリアの傲慢な体制は続いた事であろうと推測できる。

携帯電話ばかりの話ではない。LCCと呼ばれる格安航空の世界も日本での登場は大変遅かった記憶がある。ヨーロッパやアメリカではこの様な格安航空は随分早く90年代中頃から始まっている。

当初はジーンズ姿のキャビンクルー(搭乗員)が登場して料金の安さと相まって随分と話題になった。冗談の様な料金でキャンペーンが度々あり、私も利用したことがある。確か2005年頃にキャンペーンでロンドンからイタリアのベニスまでの航空運賃が往復10ペンス≒15円であった。冗談の様な値段だったが普通の観光旅行には何の問題もなかった。私は息子と2人で参加したが自宅から飛行場までの電車賃の方が遥かに高かった。もちろんこれ等は格安航空が広告を目的としたキャンペーンであった事は言うまでもないが、それらの航空会社をその後も利用したが相変わらず大手の航空運賃に比べれば三分の一以下で飛べるものが沢山あった。

これらの情報は当然の事ながら日本の大手航空会社は知って居たであろう事は容易に想像できた。それらのLCC各社が成功をおさめその後も多くのLCCが登場したわけである。しかし日本のマーケットと言えばLCCが登場したのは遥か後の事で2010年頃まで待たねばならなかった。それも近隣諸国からのLCC乗り入れ圧力があって初めて日本の航空業界も動かざるを得なかったのだと思われる。

今一つはIT業界の話である。現在でこそスマホが中心となりLINE等のフーリートークやビデオ会話が日本の社会でも普及してきたが、私がSkypeと言う同様なサービスを使い始めたのは弟子の拳士に紹介された事が切掛けであった。確か2005年頃でありパソコンを使い無料でビデオ会話が出来ると言う事で早速使い始めたことを記憶している。当初はビデオの画質も悪く、通信回線も遅かった事もあり今ほど快適ではなかったが、いかんせんタダで日本や海外と映像を見てパソコン上で会話が出来ると言う事で日本の友人達にも勧めた。それ以前の国際電話料金の高さを考えると非常にありがたかった事を記憶している。

現在の環境はスマホが中心になり欧米での使用が多いSkypeやWhatsAppのみならずLINEが韓国主導により日本で開発されて日本人社会でも普通に使われる様になってきた。これ等は全くのパクリ文化の国が先にやった訳で日本もその恩恵にあずかっているわけであるが、NTTをはじめとする大手のキャリア等はとっくに欧米でのフリービデオ通話等の利用状況等は知って居たであろう。

この様に見てくれば日本社会が抱える問題点は、世界の先進国どころか近隣諸国の方が先に取り入れている事が分かる。これらは何を意味しているのか。日本国内の大手の事業者と官僚、政界の談合(癒着)の体質ではないだろうか? 一頃アメリカの同様な問題点を軍産複合体(Industrial military complex)と呼び批判的な日本のメディアが紹介する記事を何度か目にした事が有った。ネオコンと兵器産業そして政界の繋がりを意味した言葉ではあったが、見方を変えれば日本社会の現状も兵器産業でこそないが仕組みとしてはアメリカの軍産複合体と似たような構造である事が理解できる。

日本のマスコミがこの様な問題点を指摘している記事を見た事が無い。マスコミ関係者にとっても見て見ぬふりをするならば、それ等を言い換えれば『寄らば大樹の陰』と言う事なのであろうか? その様な一般市民の利益を代弁しない報道姿勢は、マスゴミやフェイクニュースと呼ばれるのが昨今の状況である。

2019/06/06

この強さは何だ!信じ難いボクシングKO劇

井上尚弥と言う稀代まれなボクサーが活躍している。

つい先日はグラスゴーで行われたWBSSの準決勝で、モンスターNaoya Inoueとのキャッチフレーズで紹介され注目していた。その試合は井上と言うボクサーの圧倒的強さを世界中のボクシングファンに強烈に認識させる場となった。井上尚弥 WBA世界チャンピオン 25歳16戦全勝14KO驚くばかりの結果ではないか。

日本は軽量級の世界では多くの世界王者を輩出しているボクシング大国である。しかしながら井上尚弥が見せるその強さは、観るものを感動させる凄さかもしれない。試合後の井上は普通の顔であざ等もほとんど見た事が無い。たった今世界王者戦を戦った選手の顔とはとても想像できない様なきれいな顔なのだ。

日本ボクシングが世界チャンピオンを輩出して久しいが、歴代王者の中にも優れたボクサーは確かに居た。しかし現在の様に多くのボクシング団体が出来てどれが本当の世界王者なのかが良く分からなくなっている。同じ階級の世界チャンピオンが2人も3人も居れば当然の事ではないだろうか。

井上はすでにWBC世界ライトフライ級王者、WBO世界スーパーフライ級王者、現WBA・IBF世界バンタム級王者と言う世界3階級を制覇したチャンピオンである。WBSS(World Boxing Super Series)において井上は準決勝の場においてまざまざとその強さを見せつけた。今や彼は極東の生んだ地味な世界チャンピオンではなく、紛れもなく世界から注目を浴びる最強の存在である。

ボクシングの4団体(WBC、WBA、IBF、WBO)が唯一の世界王者を!と言う理由からスタートしたと聞く。イギリスも過去に数多くの世界王者を輩出して来たボクシング大国である。目の肥えたファンも数多く、グラスゴーで催された今回の準決勝は世界中のボクシングファンの耳目を集めた事は言うまでもない。その本番で見せた今回の2ラウンドKO劇は改めて井上の強さを際立たせる結果となった。

今回対戦したIBF世界チャンピオンのエマヌエル・ロドリゲスも19戦全勝(12KO)と戦績はかなりのものである。そのロドリゲスが僅か2ラウンドでTKO負けをするとは戦前の予想は無かった様に思う。今後の戦いから益々目が離せなくなりそうだ。『岡山のおばーちゃん 大和魂』(ちょっと古いか!)と叫んでいた世界チャンピオンも居たが、次元が異なる強さを見せてくれた。

頑張れ井上尚弥。