英国は公共放送のBBCがオリンピックの放映権を持ち、殆んど全ての競技をカバーしているように主張しているが、当然の事ながら英国の選手が活躍する競技を中心にプログラムが組まれているので、英国が参加しない野球やソフトボールなどは全くカバーされていない。
この様な我々日本人が期待する競技はインターネットのニュースが唯一の情報源となる。日本オリンピック委員会(JOC)が目標とした北京オリンピックでの獲得メダル、金10個以上(総数でいくつだったかは忘れたが)は、残念ながら目標に及ばなかった。
小生が受けた最初の違和感は開会式での行進である。こればかりはBBCでも全て映しているので、直ぐに分かった。何が違和感かと言えばどこの国の選手団でも、自国の国旗を誇らしげに振ってにこやかに行進しているのに、日本の選手団だけが自国の国旗(日の丸)と中国の国旗を同時に振らされていた事である。
この様な要請が中国からあるはずは無い!
もしあれば全ての国であるはずで、他国でも一つや二つ中国国旗を同時に振って行進していたはずであろう。しかしながら開会式当日の選手団で自国の国旗以外を振っていたのは日本の選手団だけだった様に思う。
なぜこんな事をしたのだろうか?小生は今もって理解に苦しむ。オリンピック開会式の入場行進と云えば、多くの参加国数による開催国の国威発揚(特に今回のオリンピックではその傾向が強かった)が一つの大きな目的である。それだけに、これを強要したJOCの責任者は何を考えているのだろうと余計あきれてしまった。
よその国の国旗を振らせておいて「自国(日本)の為に誇りを持って戦え(頑張れ)」と云えるのか?相当頭の悪い権威を持った者が命令したのであろう。
日本に中国との戦争の歴史があり、国民が日本に対して悪感情を持っているから、少しでもご機嫌を取ろうとしたのだろうか?
しかし中国と戦争をした国は日本ばかりではない、英国もドイツもそれぞれ植民地を持ち少なからず悲惨な歴史もあることは誰でも知っている。第一に当事国である中国がオリンピックに政治を絡めさせたくない事は明白である。これ程までに世界各国で相次ぐ妨害や抗議行動にあう聖火リレーを過去に見たことが無い。中国にしてみれば直前に起きたこの様な世界の反発や、チベット等の独立問題などの政治色をオリンピックから切り離すことに苦心していたはずである。
そんな事情のある国で日本が過去の戦争責任や国民感情におもねっていたとすれば、選手にしてみればいい迷惑であり、戦う前から『遠慮して!ほどほどに頑張りなさい』と云っている様なものではないか。どこの国の選手も国の代表として誇りを感じて国旗を背負い戦う(競技する)わけである。その戦いの前に司令官が主催国におもねる様では初めからメダルの目標など口にしない方が良い。
全力で戦った選手には心より敬意を払うが、他国の国旗を選手達に振らせた責任者には日本国民の前で正式な謝罪をしてもらいたいと感じるのは自分だけであろうか?中国は日本の宗主国ではない。この様なへりくだった行為が過去最大の選手団を送りながら、前回のアテネ大会よりもメダルが取れなかった一つの要因ではないかと思う。
オリンピックは見るものを興奮させる。そして何よりも自国の選手が勝つと単純に嬉しい。必死に戦うアスリートは結果の如何を問わず世界中を感動させる。自国と関係の無い選手の世界新記録にさえ、時にはおめでとうと言いたくなる事さえある。
自分と自国のプライドとを背負って戦う素晴らしいアスリート達に困惑を与えたJOCの責任者に言いたい! あなた達に負けた選手や監督を批判する資格は全く無いと。