2017/01/08

International Kempo Association(IKA) 年次予定

2017年、今年も我々IKA(国際拳法協会)にとっては希望に満ちた年明けとなった。昨年度はチェコにおいて国際大会並びに特別講習会が催され、日本やヨーロッパの国々からも多数が参加して充実した大会とセミナーが出来たことは大変喜ばしい出来事だった。

先立つ2015年の神戸で採択されたのは、IKA加盟国の中から毎年1ヶ国がIKAの公式行事として大会と同時に特別講習会を主催するという取り決めである。2016年はチェコがその役目を担う事になり主催するチェコの支部長達は非常に喜んで受け入れてくれた。

世界遺産の修道院
思えばチェコに少林寺の支部が出来る過程では、以前にも紹介したが、WSKOから受けつけられなかったカルロイバレーの現支部長が私に問い合わせてきた事がきっかけであった。彼は現職の警察幹部であるが、宗道臣の本を読み、それまで指導者として教えていた空手を辞め入門を問い合わせてきた。

当時の私はWSKO理事であり、自然の流れとしてWSKOを紹介した。その後本部に問い合わせた本人から再び連絡を受け、「WSKOとしては指導員を派遣する事は出来ない、近隣の支部(ドイツ又はフィンランド等)に入門して始める様に」と言われたそうである。その上で本人からは「国外の支部に行き修練するのであればロンドンまで通いたい」と言う申し入れだった。

そうは言ってもチェコからロンドンは飛行機でも2時間近く掛かる事になる。後に分かった事ではあるが彼の住む町、カルロイバレーは首都プラハから車で2時間半近くも離れた場所である。いつまで続けられるのか私にも分からなかったが、本人は実に真剣に取り組んでいた。初段になり黒帯を締めるまでは指導し始めて5年程の歳月が流れたが、大変うれしかったようである。

 カルロイバレーの街
その後地元で支部を開いた彼が、毎年BSKFの合宿や講習会には欠かさず参加して、技術や哲学の習得に努める姿は印象的だった。その後ロンドンのインペリアル大学で博士課程を学んでいた別の拳士(合気道三段)が有段者となり、帰国して首都プラハで支部を開設する事になり二人は共に協力してチェコの活動には大きな弾みとなった事は言うまでもない。

そんな歴史を持つチェコの道場には数多くの青少年達が集まる事になり、益々活発にIKAメンバーとして発展している。 2年前にはスロバキアから新しく支部を開きたいという者が現れた。彼も以前少林寺拳法を習ったことが有り、現在は柔術を指導しているとの事であった、講習会に黒帯で参加していたので、何処で少林寺拳法を習ったのか本人に詳しく聞いてみた。

その結果は、柔術を指導していた日本人の指導者が、少林寺拳法の技も出来ると言う事で指導を受けたと言う内容であった。何十年も前に少しだけ習った技は、残念ながら面影は残すものの随分崩れていた。そこで私が「君は真剣に少林寺拳法を始めからやり直す気持ちがあるのか?」と質問すると、「是非やりたいので指導してほしい」との返事だった。そこで私が「では白帯をして初めからやりなさい」と言うと、すぐにチェコの支部長から白帯を借りて練習し始めた。

大会記念のケーキ
その彼が昨年と今年2回の昇級試験を受け、現在3級となり頑張っているとの報告を受けた。彼がどの様に成長して行くのかは、現段階で私には何とも断言できないが、チェコの支部長達の成長を見るにつけ将来が楽しみな事でもある。特別講習会の折には参加しており、昨年のカルロイバレー大会にも参加して、講習会では一生懸命技術の習得に汗を流していた。

この様に見てくると、将来のIKAの前途には現時点では未知数ながら、大変将来性のある人材が育ってきて居る様な気がしている。今年はスペインがIKAの開催国として大会と特別講習会を取り仕切る事が決まっている。4月の大会には日本からの参加者も含め私達BSKFも大会出場や講習会に駆け付ける所存である。その他のIKA加盟国も近隣と言う事もあり多数が参加すると聞いている。

古代遺跡にて
その他には毎年秋に恒例のIKA指導者講習会がサイプロスで催される。指導者講習会と銘打って有段者を対象としたセミナーを初めて今年で8回目になる。毎年通い続ける拳士達は大変熱心な拳士である事は疑う余地もない。1週間の講習会では毎日午前と午後に3時間の技術指導が有り、参加者は国を超え毎年の再会を喜んでいるようにも見える。昨年度は日本からも指導者が駆け付けてくれ、参加した拳士達には指導内容も大変好評だった。

今年も未だ1月だと言うのにすでに参加したいと言う申し込みが届いて居る、嬉しい限りだ。昨年日本から参加して頂いた指導員の先生にも彼らの熱心さは伝わった様で、参加した事で指導する側にも彼ら拳士の拳法に対する取り組みが伝わった事を知り嬉しかった。

講習会の様子
今年も未だ始まったばかりである。この一年どの様な年になるのか?くしくも今年は宗 道臣が少林寺拳法を創始して70周年の記念すべき年でもある。私達の拳法は少林寺拳法の創始者『宗道臣』から出た武道であり、空手や合気道では無い。空手や合気道も流派は異なっても船越 義珍や植芝 盛平の流れを否定する空手家や合気道の指導者はいないと思う。それら日本の武道は結果として枝分かれしたとしても、創始者の偉業が傷つく事は無いはずである。我々のIKAグループもより切磋琢磨して日本武道の一担い手として今後とも社会に受け入れられるべく努力を惜しまぬ所存である。

修復された古代遺跡シアター

2017/01/04

国際拳法協会(IKA)年始のご挨拶

金明竹
年が明け、新たな一頁が始まりました。

これと言う理由もなく何故か嬉しい年明けの予感がしています。 WSKO(世界少林寺拳法連合)から離れすでに久しい年月が過ぎました。その様な環境下でも私達の活動に共鳴して協力を申し出てくれる人達が途絶える事がありません。

元々は開祖 宗道臣の考案した武道(少林寺拳法)とその教えに心身共に共鳴した人達なのです。その様な信念の有る人達が簡単に自身の考え・生き方を翻す訳が有りません。何年も悩み葛藤の末たどり着いた結論から導き出された選択なのです。

今年も私達国際拳法協会(IKA)は前進します。
志を同じくする拳士達とは努めて協力し、宗道臣の目指した理想境建設(平和で豊かな社会造り)を目指す覚悟です。
同時に私達は武道としての強さ、そして護身の技術としての有効性にも、当然の事ながらこだわり続けたいと考えております。
宗教法人、宗教活動という形に囚われず、日々の拳法の修練を通じて、社会に貢献できる人材育成が可能であることを追求(証明)したいと思います。

本年も私達International Kempo Association (国際拳法協会)の歩みにご理解とご協力を賜わります様お願い申し上げますと共に、新しい年が拳法関係者の皆々様にとりまして益々のご発展と成ります事を祈念致します。

結手

2017年の夜明け