2019/10/25

課題を決めて練習するーその1

格闘技の練習の中で一番難しいのが相手の動きに対する的確な対応ではないか。何故ならば相対した時に相手の動きが直ちに読めると言う訳ではない、通常は攻防の中で少しづつ相手の特徴が分かり始める。その様な状態で相手がどの様な攻撃を仕掛けて来るのか分からない時、自身がすでに頭の中を整理しておく事により、ある程度は迷いが無く反撃の技が出せると言う事である。

先ず相手に対しての間合いを整理する必要がある。突きの間合いなのか、蹴りの間合いなのか。初めに自分がやろうとする技を限定しておくことにより迷いがなくなる!それを効果的に使う事により、全くプランが無い状態よりもより効果的な反応が出来ると言う練習方法である。

先ず我は『逆蹴りのみ』と言う結論を出す。技としては払受蹴り、十字受から逆の下段蹴り。この2種類のみのカウンター攻撃と言う事を決めて練習する事で他にあれこれと考える必要がなくなる!この事によりよりシンプルにカウンターの反撃に入る事が出来ると言う理屈である。自分がやる事を決める事により迷いを消すことが今回の目的であると言う事を理解して練習してみたらどうであろうか。簡単に反撃が出来たと言う人は目的が達せられたことになる。

(スイス講習会での記録)

2019/10/11

切小手の捕り方

少林寺拳法の指導者として過去にいろいろな場所で指導してきた。

私より身長の低い拳士が一人も居なかったスウェーデンやフィンランド等のスカンジナビア半島の国から、標高1000Mを超える空気の薄さを感じる国や、環境から来る身体能力の非常に高いアフリカのケニア、タンザニア等と言った国々まで指導する機会を得た。

そこで分かったことがいくつか有る。自分達の現在やっている技に対する研究と進化の大切さである。研究心が足りなければ進化も適わないのみならず、より強大な者には技が通じない。その時に役立った事は図らずも先輩指導者による知恵だった。

ここで紹介する技にもそれら先輩諸氏の血の滲む様な研鑽と努力の跡が見て取れる。正直言って切小手と言う技は自分が指導者になった後も全く自信が持てなかった。言葉の通じない場所での指導であれば説明して倒すことなど不可能である。そんな悩みをぶつけた時に偉大な先人達は少しも隠すことなく指導してくれた。

そんな一人が柔法で名を馳せた森 道基先生であった。切小手で悩む私に『小指丘で切る!』と教えてくれた。その後また別の問題が生じた、握っている相手が危険を感じ、あるいは痛みを感じて離そうとして技が掛からない。この対処法も奥村正千代先生のアドバイスがぴったりと当てはまり解決を見た。この様に自身が心底悩んで居る時には大先輩の先生方が授けてくれた対処法は大いに役に立ち、自信が持てる様になった。

それ以後、それらの技を指導する時には心してそれを授けてくれた先生の名を出して指導に当たるよう心掛けている。現在の自分が有るのは偏にこれらの知恵(技)を授けてくれた先生に報いる為と心して指導に当たっている。

(サイプロス指導者講習会での記録)