2007/07/14

バン?いいえエステートです

車社会が発展した日本において未だ混同される存在の車がある。
それは エステートワゴン と バン である。

90年代初期に家内が日本の食料品店をやっていた事があるが、長年エステート カーに非常に強い興味があった小生は『仕事に役に立つ!』と理由を付けてメルセデスの300TEと言うエステートを買った。
 
実際にはその車で店の仕事を手伝う事はほとんどなかったが、あるとき日本人の拳士から『先生が"バン"に乗るのですか』と言われた事がある。小生は『バンではない。エステートだ!』と言ったが、その女性の拳士にとってはバンもエステートも同じにしか見えないようだった。

なおも小生が『エステートはその車種の中では最高のステータス(高価格車)であるが、バンは仕事用専門車で価格も安い』と言ったが、『同じ形ではないですか』とノタマウではないか。

『云っておきますが、英王室のプリンス チャールズが乗る車はエステートであってバンではありません。大工や電気屋のオヤジが乗る仕事車がバンだ!(大工さんや電気屋さんに偏見はありませんので悪しからず)』と述べても 『同じ形じゃないですか』と切り返されてしまう。

女性相手に車の講釈を並べたところで所詮車好きの気持ちなんぞ分かってもらえない。仕方が無いのでプリンス チャールズを持ち出したのだが、これも変な理由だなと思い返していた。

事実、英王室の公用車の中にはロールスやデイムラーのリムジンばかりでなくエステートがある。日本で皇太子殿下や皇族がエステート ワゴンを使われる事は無いのであろうが英国の王室はエステート カーやランドローバー(SUVのレンジローバーではない)等を使うプリンスやプリンセスをTVニュースでも見たことがある。さしずめこの様な場合に先ほどの女性拳士なら、『王女がジープを運転するなんて』と言うのであろうか?

車文化とはその車が持つ目的を上手に生かして使っているかと言う事ではないかと思う。形で判を押したように決められてしまっては車もかわいそうと言うものだ。確かにエステート カーは車に無関心な人にとってはバンに見えるかもしれないけれど。

車の好きな人には分かってもらえると思うが、バンのサスペンションはリーフスプリング(板バネ)が多い。強くて重い物も載せる事が必要だからであろう。しかし乗り心地や運動性能(車の取り回し)は良くない。

反対にエステートカーは似たような上物(車体の形)でもコイルや最近では電子制御のエアーサスペンションが使われる事も珍しくない。乗り心地はその車種のサルーン カーより良い事があっても何の不思議でもない。車の後半分が同じ様な形をしていても、バンとエステートでは一目で分かるではないか。第一バンには後半分に窓ガラスが無いでしョ?

自分が乗っていた300TEも後輪にはハイドロリック(油圧)のサスペンションが付いており、後部ドアはそっとドアを下ろしてもゆっくりジワーッと閉まる半ドア防止の装置なども、その当時の車種(Eクラス)では唯一スタンダードで付いていた。

しかしこんな事を言っても先の拳士は分かってくれないのだろう。何しろ後半分の車体でバンと決め付ける人だから。

エステートで良かった事はスーパー等へ女房の買い物に駆り出された時の便利さである。そのバン!型スタイルは後部ドアを開ければ広大なラゲージスペース(荷持室)が広がっている。サルーンのブーツ(トランク)とでは広さや荷物の出し入れの容易さに雲泥の差があることは言うまでも無い。

ヨーロッパの国々はディーゼル車(乗用車)の普及が50%を超えている国がほとんどだ。軽油が日本同様にガソリンよりも安い事もあるが、環境にはガソリン車よりも優しいと解釈されている。

日本やアメリカではディーゼル車に対するイメージが黒煙(NOx)や騒音の問題があっていま一つ良くない。特に東京都が石原都知事自らペットボトルに入った黒煙の粒子をこれ見よとばかりにメディアで取り上げさせアピールした事もディーゼル車のイメージを悪くした大きな一つの要因であろう。これにより一般の人達に刷り込まれたディーゼルエンジンに対するネガティブ イメージは大変大きなものとなってしまった。

しかし都知事が自慢するような事がプロパガンダ以外に本当に実現したと言えるのだろうか?
これは日本中にそのネットワークを持つ宅急便のロンドン事務所の幹部から聞いた実話であるが、あの通達(ディーゼルトラックの触媒規制)が出た事により『それまで使っていた貨物車が関東地区1都3県で使えなくなった為、それらの車を地方の県に移動した』と言う事だった。

何のことは無い。公害の地方都市への押し付け、拡散である。その前にやる事があったはずではないか。

硫黄分の少ない黒煙を出さないディーゼル フュールの販売(現在はやっと販売されるようになったらしい)や触媒の開発、エンジンそのものの技術革新等など、現在ヨーロッパの自動車メーカーが取り組んでいるディーゼルエンジン車の開発は環境問題にも一石を投じる事であろう。

確かに日本もハイブリッド技術があり、世界中のメーカーもその技術を認めてはいる。
しかし時代はハイブリッド車の一時的時間稼ぎのメリットは認めつつも、エタノールエンジン車(これも時間稼ぎ技術ではあるが)や、もっと歴史の長いディーゼルエンジン車の開発を推し進めている。次世代の燃料電池車やEV(電気自動車)には今しばらく時間が必要である事を知っているからこそディーゼルに注目するわけだ。

去年スイスで乗ったレンタカー、ルノーのラグーナは本当に良い印象だった。
昔のディーゼル車の様にうるさい訳でもなく、低速からトルクが掛かった気持ちの良い加速、マニュアルミッションの車ではあったが僅か1900ccの車(ディーゼルエンジン)とは思えないような俊足ぶりだった。条件(ドイツのアウトバーンのような)さえ許せば、時速200キロ巡航走行も現実的なエンジンだったと言えば車好きの人ならば理解できると思う。

何故ヨーロッパではディーゼルエンジンが環境に優しいと言われるのであろうか。
事実EUの加盟国(英国も含む)間ではディーゼル車の環境税はガソリンエンジン車よりも低い。英国では毎年徴収される道路税に含まれる環境税は排気量の小さい車やディーゼル車は環境負荷が低く見積もられて安くなっている。

勿論日本(トヨタやホンダ)御自慢のハイブリッド車も環境税が低い事は事実であるが、その最終処理まで含めた環境負荷がディーゼル車より低いとは小生には中々信じられない。なぜってハイブリッド技術で使われる大量の希少金属やそれ等から作られたハイテックバッテリー等の回収に掛かるコストや環境負荷はディーゼル車より高いと思うのだが?

ともあれラグーナ搭乗経験が前から興味が有ったディーゼルのスポーツエステートに目を向けさせる今日この頃だが、アルファ159スポーツワゴン でディーゼルエンジンはないかな? セレスピードか6速マニュアルに女房殿はどう答えるであろう。『買い物に便利!』は通じそうに無い。

2 件のコメント:

  1.  合掌 
    水野氏へ エステートとバンを私、なりに思うと小生が始めて、手にしたのは昭和44年でその時は22歳で上司でも車を維持してない時で、私は会社の寮で生活して、寮生が100人は居たとこで人格、力等の駆け引きがあり、他に通勤者で250人は居まして、現代では、あたりえで、今、思うには、そのなかで、上手く生きたと思う今日でした。話が反れ、その時は,エステートと名は無く、バンは聞いたのは、商用者でナンバーが4で板バネで、現代は商用者は同じで、乗用車はコイルばねになってるようでナンバーは5になつます。今はワンボックスかーと呼んでます、私なりの考えで記入しました。 結手  上崎

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  2. Anonymousさん投稿感謝します。
    懐かしい時代ですね、我々の人生でも一番元気だった頃かもしれません。
    日本も大きく変わっている時でした、丁度急激な経済成長を続ける今の中国やインドを見るような思いです。
    確かにあの頃は未だ個人で車を所有する人達は少数派でした、その後に起きる70年代から80年代に掛けての日本の経済成長は人にも車にも変化をもたらしました。
    21世紀になって今一度車の持つ意味を、エステートと言う車種を通して感じた事を書きましたが、はたして日本人の意識の中で車やエステートワゴンに対する認識はどれほど変化したのでしょうか?
    又投稿を期待しています。

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