2007/05/17

音の違い

オーディオの話である。
前にも書いたが音楽のジャンルによって好みの音があることはオーディオ ファイルの間では結構当たり前の事実である。

自分の場合はジャズが好きなのでどうしてもそのモダンジャズ全盛期の再生を中心に取り組む事になる。
モダンジャズと一口に言ってもレーベルの違いによる音の差(録音された)も無視できない。

よくクラッシックの録音でもドイッチェグラモフォンとロンドン デッカでは同じ演奏者でもかなり異なって聴こえると聞いた事がある。

ジャズの世界はこのレーベルによる個性はより一段と激しい、日本人が録音したジャズ ピアノのCDであったが、同じピアニストがスタンインウエーとベーゼンドルファーを比較しているものだが、明らかに小生にとってはスタインウエーで弾いてもらったほうが楽しめた。もしこれがクラッシック音楽の録音であったならば逆の印象になった可能性は充分にある。

ピアニストの好みもビル エヴァンスの折に触れたが、弾く方も好みがあり、それを意識して音を出している事を考えると再生する側にも出来るだけミュージシャンの意図するところを汲んでやりたくなる。

ジャズ レーベルの名門にブルーノートとコンテンポラリーがある事は有名である。

ルディ ヴァンゲルダーはブルーノート録音には無くてはならないレコーディング エンジニアである。彼が録った音とコンテンポラリーの録音技師ロイ ディユナンの録った音楽とでは同じミュージシャンでも随分異なった音が出る。

小生の個人的な好みを言えばヴァンゲルダーの音が最高だ。彼は特に素晴らしいシンバルの音を聴かせてくれる。エルヴィンジョーンズの叩くジルジャン(シンバル)の音はちょっと強調されすぎているかな?と思う事もあるがシビレル音である。

ジャズにはリズム セクション、特にドラムのシンバルの呻るような音や、ベースのピチカットの歯切れの良いビートは全体のノリを作り出す重要な要素である。こんな事を書くと当たり前のことをくだくだ書くなと言われそうだが、これらの音楽の持つ特徴を再現する事はそれ程簡単ではない。

なぜならばクラッシック音楽とジャズでは音楽に要求される要素が大きく異なるからだ。

クラッシック音楽では楽器の出す音の和音が重要だ。同じピアノでも余韻が長い方が音楽に厚みが出る。しかしジャズにはあまり余韻の長いピアノでは音がかぶり過ぎる。

確かにビッグバンド等ではある程度音のかぶり(ハモリ)はあったほうが全体としての音が良い場合もある。しかしクラッシック音楽のオーケストラが広い劇場等で出す音の広がりはこれとは比べ物にならないほど厚くて、長い余韻である。

歯切れの良さ、と余韻の長さは相反する要素である。その両方を追求すると1台のスピーカーでは不満が出る。 

初めに自分が気に入ったスピーカーは英国の老舗メーカー、タンノイであった。京都のジャズ喫茶でタンノイの音を聞いた時何と素晴らしい音だろうと感心した。しばらくして別のジャズ喫茶でJBLのスピーカーを聞いた。印象は随分硬い音質に感じたが、これはこれで良い音に聞こえた。又あるときは別の店でアルテックのスピーカーを聞き、これが欲しいと真剣に考えた。

かように個々のスピーカーを別々に聞くとその都度良い印象だったが、あるときハイファイの専門店でハイエンドのスピーカーを聞かせてもらうと、それぞれに随分違う音が出てきた。当たり前だが、その時初めてスピーカーにはそれぞれに得意な分野と苦手な分野があることが分かった。

小生が始めに感心したタンノイと言うメーカーは英国BBC放送のモニタースピーカーを制作しており、主にクラッシック音楽の再生では定評のあるスピーカーだった。又アルテックやそこから出たJBLなどのアメリカ系スピーカーは歯切れの良い音が信条でジャズにはうってつけのスピーカーだった。

同じ環境で聞くとその違いが驚くほど出てくる。これがハイエンドのスピーカーなのだと納得した。

自分は現在タンノイとJBLのモニタースピーカーを両方使っているが、少人数のジャズコンボを聞くような時にはJBLが最高だ。

又ジャズヴォーカルや時に気分転換で聞くクラッシック音楽の時にはタンノイを使う。ジャズヴォーカルばかりでなく家内の好きな"美空ひばり"も実に生々しい良い音だ。しかしこれでラッパやドラムはダメである。相反する要素が邪魔をしてしまいどうしても楽しめる音にはならないからだ。

しかしである、人の感覚など時としてあてにならない事を痛感する時がある。

i-Podの音が好きではないと以前に書いた事がある。
先日風邪を引き寝込んだ時にベッド脇にあるラジカセにi-PodからFMに音を飛ばして聞いて見たら、意外と良い音に聞こえるではないか。小音量であったせいかも知れないが一日中かけていたが聴き疲れする事も無く以外に感じた。

もしかするとオーディオなど、ようは聴く側の心理状態によりある種の自己満足かもしれない?と思いつつも、やはりヘッドフォウンを耳に入れて聴く音にはどうも抵抗がある。年のせいかナ?

2 件のコメント:

  1. 小生がステレオで音楽を始めて聴いたのが
    昭和44年に新車購入時はラジオが標準装備で、その後に8トラックが出たのを知り、
    其の車に行きつけ聞いたのが最初で感動しのを思いだします。それからはカセット、CDなどいろいろ進化してます。其の前はレコードでLP、ドーナツ盤でしたね。初めてレコードで耳にしたのがエレビス、プレスリーでその以前はラジオで三橋美智也などの歌謡曲を聞いてたと思います。今日はパソコンに1980年から集めたCD盤を録音してます。演奏者はカウント・ベイシー、ビル・エバンス、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン
    マイルス・デイビス、リー・モーガン,ベニー・グットマンなどです。ことは、代わりますが腰が痛くて移動する範囲がせまくなってます。

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  2. Anonymous さんへ
    いつも投稿有り難う御座います。腰痛が早く良くなりますように祈ります。
    おっしゃるとおり音楽デバイスも随分変わりました。人の欲求は 1)より良い音の物、2)より便利な物(使い勝手の良い)、3)誰でも買いやすい物と限りがありませんが、これが技術を進化させる大きな要因かも知れません。1)は蓄音機からLP、ステレオ録音など、大きな機材のスピーカーやアンプも必要でした。2)はCDやMDそしてIpodなどに代表される携帯性に優れた物への変化です。3)は2)とも共通する部分は多いのですが安くて手軽に音楽が楽しめる機材でしょうか。現代社会において大きなスピーカーやアンプは使い勝手の上からも歓迎されない時代になってきました。しかしながら自分のこだわりは、楽しむ為の方法は状況さえ許すのであれば個々のやり方で良いと思うのです。皆が皆同じ様にIpodが最高と思うようでは寂しい社会になると思います。決してIpodの音が悪いと言ってのではありません。選択肢の一つとして高音質にこだわる聞き方も趣味のあり方として自分としてはこだわっていきたいと思います。

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