2007/05/09

格安航空運賃は可能だ

日本へオーストラリアから格安を売り物にした航空会社が乗り入れるとニュースがあった。
確かに日本は航空運賃に関しての改革が先進国の中で一番遅れているようだ。

航空業界が完全自由化されたアメリカやEUでは恐ろしく安い価格の航空料金が実現している。

例えばロンドンからパリやローマ、バルセロナと言った都市に2ヶ月以上前にネットで予約すると運賃だけなら5p(約10円)。冗談のような値段ではあるが本当の値段である。

日にちが近くなれば高くなっては来るが大手の航空会社よりは余程安い運賃である。勿論これに空港税が別途必要になるが、それでも往復2,000円〜4,000円で行ける都市がほとんどだ。

確かにヨーロッパ内は距離も短い(1〜2時間のフライト)と言う事もあるが、それにしてもなぜこの様な格安航空運賃を打ち出す会社が急成長しているのだろうか。
 
ロンドンはヒースロー国際空港のほかに4箇所の空港がある。
ヒースローはロンドン市内からのアクセスは確かに便利であるが、その他の空港も電車を乗り継げば簡単に行ける距離である。

極端な例になるがこの様な格安航空券の料金はロンドンからバルセロナまでの往復運賃がロンドン市内の地下鉄やバスの料金より安くなってしまう事も現実に起きる。勿論、空港税が加算されるから合計ではバルセロナやニース、ミラノと言った都市へ行く値段の方が高くなる事は事実であるが、純粋な航空券の値段だけで言えば地下鉄料金よりも安くなると言う訳だ。

しかし、なぜこの様な事が可能であろうか?
日本でも東京〜福岡や大阪〜札幌間が往復3,000円で飛べると聞いたら信じられるだろうか。

ロンドンで買える格安料金の会社はライアン エアーとイージー ジェットの2社である。最近はその他にも増えてきていると聞いた事があるが、実際に自分で体験したライアン エアーと言う会社は隣国アイルランドの航空会社らしい。 

1年半ほど前にロンドンからイタリアのベニスにライアン エアーで行った。往復が空港税を含めて3,000円くらいであったのでどんなおんぼろ飛行機かな?と心配ではあったが、実際に目の前に現れた飛行機は真新しい小型の150人乗りくらいのジェット機であった。

航空券はインターネットでのE-チケットのみ、それを自宅からプリントして持ってゆく訳だ。パスポートを見せるとそのまま乗り込む事になり、まるで乗り合いバスの感じである。席なども決まっていなくて、乗った順に前から座ってゆく事になる。

飛び立ってもフリーの飲み物や食事のサービスは無い。欲しければ現金で機内販売をしている物を買うか、空港でサンドイッチ等を買っておけば良い。
2時間程度のフライトなら問題など全く無いと感じた。

さて、空港であるがロンドンは北にあるルートン空港、自宅から車で40分くらい掛かる距離である。又ベニスもメインの空港ではなく電車で20分くらいの都市トレヴィッソと言う町に着いた。トレヴィッソからベニスまでの電車料金は2ユーロ(約300円)だから英国航空などで行くよりもかなり安い。

乗って見て解かった事は往復のフライトがほぼ100%に近い搭乗率であった。空港税は一律である事から乗客全員が空港税を払えば必ずあまるはずである。加えて機材も150人から250人くらいのものが中心である事から無駄(空席)が無い。空港税の余った分で燃料費も人件費も賄えるというわけである。また空港税もヒースローに比べれば随分安いはずである。両方の空港とも少し不便ではあるがメインの国際空港を使わなければこの様なサービスが可能になると言う訳だ。

航空運賃は航空会社が我々に説明している燃料の値上げ、高い空港税、などを考慮してもなかなか納得できない事例を幾つも知っている。

あるとき航空会社のセールスに聞いた事がある。
『ロンドンからロスアンジェルスが安い時には往復で£250(55,000円)くらいで飛べるが、距離からするとロンドンから東京より少し遠いくらいである、となれば何時かはロンドン〜東京も£250くらいで飛べるかね』と質問したのに対して、『その様なことは先ず考えられない。まず空港税が高いし、そんな事態になればロンドンの事務所に日本人スタッフを置けなくなる』と言うものだった。

ロンドンに日本人スタッフが現状と同じ人数居る必要があるかどうかは別として、空港税と日本人スタッフの人件費『だけ』では納得できないと感じた。

別の時にはこの様にも聞いて見た。
『新聞やインターネットで売られている格安航空券では、ロンドンから東京までの往復運賃よりも同じ便を使って、東京で乗り換えてオーストラリアのシドニーまで往復する航空運賃の方が安いとはどう言った理由か?』

別に意地悪をしてこの様な質問をしているのでは断じてない。
ちょっと考えれば誰でも不思議に思うはずであろう。

ロンドンからシドニーを往復すれば2倍とは言わないまでも、それに近いくらいの飛行時間と燃料が必要になるはずである。また人件費も2倍近く掛かるし、食事や飲み物に掛かるサービスコストも2倍であろう。しかるに幾分でも高ければ無理に納得も出来るかも知れないが、それより短い距離の東京便の航空運賃の方が高い事の理由が小生には納得できなかった。

その時の答えも前と同様『なるほど』と言えるような答えは返ってこなかった。

あまり文句を声高に言わない日本人客には高い料金設定をして、権利意識が強い欧米系の乗客の料金をその分安くしているとしたら、日系の航空会社は今後日本人乗客から手厳しい批判を受ける事になるのではないか? 

それにしても航空運賃の値段は格安航空券のお陰でかなり安くなった事は事実である。自分が渡英した74年当時はとても毎年帰国できる様な値段ではなかった。当時の航空運賃は現在のCクラスチケット(ビジネスクラス料金90万円前後)に匹敵するだろう。

ロンドンからアメリカへのCクラス運賃は安くなっているのに、どうして日本行きには格安Cクラスチケットが出ないのであろう。そろそろこの分野にも格安料金が導入されはじめているが、日系の航空会社が、どうせ会社が負担するから高くても買うだろうと高をくくっているととんでもない事がおきないとは断言できないと思う。だって航空業界最王手だったパンナムやTWAは気が付いたらいつの間にか両社とも無くなっていた事をお忘れ無きよう。

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