2007/03/07

UTSを振り返って


英国連盟で合宿と一口に言っても一般の拳士が行うサマーキャンプと、つい先週末に行われたUTS(学生合宿)の二種類がある。

どうして2種類あるのかは、前にも説明したが主に経済的理由と時期(学生は試験などもあり限られた時期しか出来ない)の課題が大きい。

学生がサマーキャンプに出ることは勿論可能だが、UTSには一般の拳士は基本的に参加できない。
今年は日本からの学生が参加してくれ大いに盛り上がったが、彼等にグラスゴーのUTSがどの様に写ったのだろうか。


ホームステイ先での朝食はホテルのフル ブレックファーストとは大きく違っただろう。
スコットランドではスコティシュ ブレックファーストと言う(当然イングランドではイングリッシュ ブレックファーストと呼ぶ。なんのことはない。ほとんど同じモノだ。)朝食の内容はソーセージ、ベーコン、焼きトマト、目玉焼き、ベークドビーンズ、ブラックプディング等が盛られた大皿に、トーストや丸パン、ミューズレー、ヨーグルト、そして紅茶かコーヒーが出てくる。

これはホテルの朝食の場合で、おそらくホームステイ先の学生たちはその様な手数を掛けるとはとてもじゃないが思えない。せいぜいトースト、ミルク、ミューズレー、コーヒーくらいが提供されるメニューではないかと思う。

昼食においてもいたって質素である。オフィスで働くいい年した大人がチョコバーを丸かじりしている光景は決して珍しいものではない。サンドイッチに紅茶かコーヒーで満足する人達が少なくない。

しかしこれは決して彼等がケチでやっているのではない。
普段の彼等の食生活がその様なものなのである。

逆に日本に行った拳士の食事に対する評は上々だ。しかしながら講習会の期間中、旅館の朝食に毎朝「納豆と焼き魚」が出るのには閉口した拳士が多い。
日本人の我々からすると温かなご飯に味噌汁、納豆、焼き魚、玉子焼きは「朝食の定番」 逆にそれらが無いと残念でもある。

現在の小生はブラウンフレークに果物少し入れて豆乳をかけて食べるくらいだから...アレ?何時の間にやら英国人の朝食になってしまっている。

ヨーロッパの拳士が集う合宿は実にその特徴が出てくる。当然食べ物にもそれは反映される。

総じて英国が主催したヨーロッパ合宿の場合、大陸から来た拳士(主にラテンの国)からは食事に対して評判が良くない。彼等の趣向からは全くと言ってよいほど理解できない味付け(塩と胡椒のみ)であり、食事に掛ける時間も短い。それに反してイタリアやフランスでの合宿となると昼食時にワインが出てくる。味も英国人拳士にも好評である。

我々日本人の感覚からは昼食時にワインはちょっと行き過ぎでは無いかと思うのだが、彼等にはこれが普通のようだ。イタリアでの合宿には昼休みの時間が4時間という時があった。こうなってくると講習会がメインなのか食事会がメインなのか、食事そのものには好評の英国人たちにも?マークがあるようだった。

31年前に自分が始めた合宿であるが、当初は早朝6時からジョッギングが始まり、その後、海岸で鎮魂行を行っていた。海岸と言うところは海に向かって大声を上げても誰も文句を言わない。実に早朝練習には都合の良い環境だった。朝食前に200本くらい突や蹴をやるわけである。

そんな環境で育てられた現在の幹部拳士にはそれが合宿での「重要なメニュー」として刷り込まれてしまった。あるときフランスやイタリアから来た拳士達に同じメニューをやったところ不評で、多くのフランス人やイタリア人の拳士は早朝練習には不参加だった。

これは彼等のライフスタイルの違いでもある。総じて北ヨーロッパ系の人達は体も大きく力も強い。それに比べラテン系の人達は一回り小柄であるが、日本人と同じ様に器用なところも確かにある。

思うに大きくて力の強い奴には余り細かな技術は必要無いのかも知れない。身を守るのでも大きな彼等に襲い掛かる人間はまれであろう。小さい人こそ技術は大切な要素であると思う。彼らには大きな人間に対処する為には技術が必要な事は直ぐに理解できると思う。勿論何処の民族でも例外はある。大きくて素早く、技術習得に長けた人も居るし、逆に小さくて不器用な人が居ても驚くに足らない。

話を戻すとライフスタイルの違いは、彼等が人生で何を一番重要と考えているかで行動パターンも変わって来るのだろう。4時間の昼食と昼休みが必要なイタリア人と、チョコレートバーとクリスプス(ポテトチップス)で昼食とするイギリス人ではその人生観は大きく異なっている事は用意に想像がつく。

よく冗談で『英国連盟の合宿も昼食にはワインを出すように、そして昼休みは4時間』と言うと皆大いに喜ぶ(笑っている)が一度も実現された事は無い。これまでのところその様な事が真剣に議論された形跡すらない。

俺は来る国を間違ったのかナ?と自問する。
最初に千本蹴りなんぞ教えた奴はいったい誰だ。こんな形態が英国連盟の伝統になってしまい昼食時間はたったの1時間! 自業自得とはまさにこの事であろう。
でも彼等、結構楽しんでいるように見えるんだがなー


4 件のコメント:

  1. 全く良い体験をさせていただきました。また、各先生方がおっしゃっておられるように貴重な瞬間に立ち会うことができたことを光栄に思います。
    学生たちも、あちらのホームステイがいかがなものであるのかを知って、驚きやら驚きやらで(笑い)感動したことでしょう。特にグラスゴーでは、宿主のカトと仲良くなれたようで、楽しそうでした。ああ言ったワイルドな女子学生も面白いですね。
    さて、今後どうなっていくのかまだはっきり見えてないですが、繁栄されることを望んでいます。
    何かとお世話にならなければいけないかとも思いますが、見捨てないでくださいね。よろしくお願いいたします。

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  2. hamachan殿
    ご苦労様でした。忙しい仕事を調整して、この度のUTSに学生を連れて参加して下さいました監督の皆様方には一重に頭の下がる思いです。
    本来ならば自由な観光旅行として使える貴重な時間を、学生達の発展を願い参加頂いた事に心からお礼申し上げます。
    監督、OBの皆様方の少林寺拳法にかける情熱はきっと現役拳士の彼等にも届くものと信じます。
    昨夜も練習の後参加した学生が、是非今度は
    11月に日本に行って交流したいと言っておりました、確かに何かを英国人の彼等も受け止めたようです。

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  3. 一人、一人の持ち味の違いがあり、その持ち味の違いを最大限に活かし、そしてその人の生き甲斐になっていく、その事が又人に感動を与えていく・・・そんな事をしみじみ思いました。私はそういった世界の事にこれまで全然、縁がなかったものですから、とても一つ一つ新鮮でした。又、このようなグロブの投稿もよく分からず、一回は送れたものの、この投稿もはたして送信出来ることやら・・です。こんな私ですけれど、グロブを楽しみにしていますので、これからもどうぞよろしくお願い致します。

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  4. yamamotoさん

    暖かい視点での感想有難う御座いました。
    部外の方からの指摘には出来るだけ真摯に
    受け止めたいと思っております、ご批判も気が付かれた事がありましたら遠慮なくお願いいたします。
    あくまでも小生の独断と偏見で書いておりますので、個々の問題点も有ろうかと思います。

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