2007/02/24

耳も鍛えよう

個人的な趣味の話で恐縮だがが、オーディオファイルと言う言葉を知ったのはそれ程古い事ではない。確か昔はオーディオマニアと呼んでいたのに「マニア」と言う言葉からイメージされる英語がよくないため日本でもオーディオファイルと呼ぶようになったのだろう。

我々が学生の頃はジャズ喫茶と称する店が数多くあった。
ところが最近日本に行く都度ジャズ喫茶の数が減っている事に気が付いた。

学生時代の友人が3年ほど前までやっていたジャズ喫茶のオヤジ(マスターではなく)をやめてしまった。いつも帰国の都度寄って彼の元気な姿を見るのと、好きなジャズを素晴らしい音で聞くことを楽しみにしていた。

色々な国を回ったが、ジャズ喫茶は紛れも無く日本の誇れる文化である。何処の国でもあれほど素晴らしい装置で、又よい音でジャズを聞かせてくれる喫茶店は無い。

日本人はこだわる民族だと思う。
ジャズ喫茶のオヤジ達(オーナーが女性の場合もあるが)はほとんど趣味で店をやっているようなところがある。ステレオ装置にあれだけお金を掛けているのに、コーヒーの値段は普通の喫茶店とさして変わらない。2倍の値段でも決して儲からないだろう。いつも新譜のレコードを買い増しているし。

そう言えばレコードからCDに変わった事がジャズ喫茶を続ける意欲を失くさせたのかも知れない。LPの片面の長さが丁度良い長さだと思う。CDじゃね、長すぎるもの。

時は進み今やiPodなるものに若者は夢中である。小生も初代のiPodを買ってみたがその使いかっての良さや、デザインの優れた事は認めるが、いつも聞きたいか?と聞かれたら『No』である。

なぜかって?『音が好きじゃないから』。
だから聞くこともあまり無い。時々日本に行くフライトの中で1,2時間聞く程度である。 第一疲れるでしょう、ヘッドフォンを耳に入れて何時間もあのキンキンしたデジタル音を聞いたら。

先日帰国の折、飛騨高山に行った。地元のだんご屋のオヤジが良い音でジャズをかけていたので聞かせてもらった。だんごをほお張りながら、『珍しいねだんごやでジャズとは』と聞いたら、『好きだからねー』の一言。奥さんは呆れ顔で(あきらめ顔かナ?)『だんごの売行きには関係ない!』と一言、でも『おとーちゃんが好きだから』とのたまわった。いいねーこう云う夫婦は。
でも、おとーちゃんが好きだからだんごが売れなくても良いのか、おとーちゃんがジャズ好きだけど私は関係ないョ、と言う意味なのかは分からずじまいだった。

日本のジャズ喫茶は世界に誇る文化だと書いたが、なぜ日本人はそこまでお金をかけて良い装置で聞くのだろう。
Jazz好きのステレオ装置の中で根強い人気のスピーカーがある。JBLだ。
やっぱりJazz の生まれた国のスピーカーだから、その音楽に良くマッチした音作りをしているのか。

オーディオ ファイルの装置にお金をかける順番は先ずスピーカーだ。予算の50%くらいはどうしても良いスピーカー(気に入った)物にお金をかける。

そんなJBLの38ウーハー(低域用スピーカー)を4本、他にもJBLでフル装備、なんとアンプまでJBLでマルチ駆動している、通称日本一の音とJazz 好き達から呼ばれている、一ノ関のジャズ喫茶『ベイシー』に10年ほど前に行った事がある。

当日は定休日で店のステレオ装置を調整している時だったが、店主は嫌な顔もせず聞かせてくれた。
店に一歩入った途端『参りました』と言うほどの音だった、その後自宅に帰った後も2年くらい自分のステレオから音を出す気がしなかった事を今でも鮮明に覚えている。

その後心を入れ替えて(あきらめて)、自分の装置に向き合ってみた。
スピーカーは彼の店とは比べるまでも無いが一応JBLのスタジオモニターである。アンプはその時思い切って球に変えてみた。 
それまでのトランジスタアンプと全く違う音が出てきた。

何十年も前に発明された真空管のアンプがなぜ最新のデジタルで作られたアンプよりいい音(小生には)なのだろう。
iPodの音が悪いわけではない。しかし、この音が良い(好きな)とはとても思えない。
iPod しか聞いていない(極端な言い方だが)若い人達に言いたい。
ジャズ喫茶に行って耳を鍛えてからiPod を聞いてみたらと。

良いものと、そうでない物が見分けられる能力大切だと思うがどうだろう。
そういう物にこだわった人達が日本には少なからずいて、世界に冠たる高品質な日本製品が世界中で認められる時代が、昭和40年頃から今日まで続いたのではないか。
大きなステレオなど古臭い懐古趣味と云われようと、団塊のオヤジ(ジジイか?)はそんなに簡単には妥協なんか出来ないョ。だって小さくてチョロイ音のiPodでは楽しめないから。

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