2007/02/14

ゴルフについて ~その2~

しばらくしてそのレッスンをしてくれるデリックと呼ぶプロと一緒にコースを回りながら指導を受けるようになった。
3ヶ月くらい経ってからの事である。その頃には95~100くらいで回っていたが、ある時、同じ打ちっ放しに来ていた日本人の駐在員と一緒に回る機会があった。

彼はまだ『100を切った事が無い』と言うので、どれくらいのゴルフ暦か聞いたら2年もやっていると言う。年齢的には小生より4,5歳上の人だったが2ヶ月くらいで90台になった小生には、この人はあまり運動神経が良くないのかな?と思っていた。
後に日本ではそれ程特別なスコアーではない事が分かったが、その当時は上達が遅いな?と言うのが率直な感想だった。

考えてみるとロンドンのゴルフ場は山が無い、つまり平坦な所が多い。
言ってみれば日本より簡単なわけだが、理由の分からない小生は自分のスコアーの上がるスピードを鼻に掛けていたのだろう。

ある時スコットランドにホリデーで行く事になった。
せっかくならゴルフの発祥地でやってみたい!と、レッスンをしてくれたデリックに聞いてみた。

『セントアンドリュースで出来ないかな?』 無知はここでも強い!
すると彼はセントアンドリュースのオールドコース(ゴルフ発祥の名門コース "TheOpen" の行われる事でも有名)で働いている知り合いに電話しておくから『プレイの朝6時ごろに行って、デリックの紹介と言って予約しなさい』と言ってくれた。

同時に
『せっかくスコットランドに行くのならグレニーグルスでもプレーすると良いよ』
『ここもチャンピオンコースだし山の中に在るからセントアンドリュースより難しくて面白い』と教えてくれた。

普段はロンドン近郊のパブリックコースばかりでプレーしていたので始めて回るチャンピオンコースにワクワクしていた事を憶えている。

最近でこそセントアンドリュース オールドコースはビジターに対してハンディーキャップの提示を要求すると聞いたが、当時1980年頃はおおらかなもので誰でもプレーする事を許されていた。

しかし、そこは最高の歴史あるゴルフコース。
クラブハウス前には沢山のギャラリー(クラブのメンバーだろう)が椅子に座ってコーヒーやビールを飲みながらプレイを見ている。
これまでのパブリックとは違うな と感じたが時すでに遅し、我々3人は沢山の観客の見守る中1番のティーグラウンドに向かう事となった。

先ず拳士のF君が始めに打つ事になり、緊張をほぐそうと肩を上下したりしているが観客の視線は普段あまり見かけない東洋人の我々3人に釘付けである。
そして彼が放った打球は期待と裏腹に野球のショートゴロの様にフェアウエーを転がっていく。

緊張はいやがうえにも膨れ上がり、2番目になんと数回しか打ちっぱなしの経験しかないMrs.Mizuno(ワイフ)がティーショットに向かう。
2,3度素振りを繰り返した後、いよいよ彼女の本番となったが、緊張の余り第一打は空振りに終わった。

観客は益々乗り出して見ている(そう感じたのは我々だけで、実際はあきれて見ていたのだろう)。緊張はさらに膨れ上がり、彼女が第2打を振る。
今度はボールの代わりにクラブがすっぽ抜けてグランドに転がった。
Oh my Godとイギリス人なら叫びそうである。
こうなると益々いけない。
三打めはかろうじて打ち損じのボールが10メートルほど転がっていくのが見えた。

ホッとするのも束の間今度は小生の番である。他人の場合でも緊張していたが(恥ずかしさで)いざボールを前にして構えると前の二人の緊張が伝わってきた。
以前、イギリス人の年配の知り合いからゴルフの話になり、『1番ホールは特に半分の力で振る』と言っていたのを思い出した。
祈るような気持ちでギャラリーの見守る中、半分くらいの力でスイングした。
結果はフェアーウエーのど真ん中、200ヤードくらい飛んで水路の手前で止まった。スーと緊張が解けたが何か1時間くらい格闘していた様に3人ともドッと汗をかいた感じだった。

しかしその後のプレーもいつものパブリックコースとは大違いだった。
グリーンは広いものの鏡のように刈り込まれたグリーンは乗ったボールがなかなか止まらない。
普段は見たことも無い深いバンカー(通称目玉と呼ばれているらしい)、海際のコースは快晴であったが風も強く、いったい幾つまで叩くのかと不安に感じていた。ワイフなぞ途中でスコアを記入する事をやめて右に左にフェアーウェー上を駆け回っている。

最終18番ホールのグリーンにボールが乗った時には4メートルくらい離れたところにボールが止まった。
ここでもギャラリーの目が気になったが神経を集中させて、2パットでもかまわないと思い打った球はまぐれで直接カップに入った。
その日のスコアは99だった。日ごろプレーするパブリックコースでは85~90前後のアベレージで回っていた小生は、『やっぱりチャンピオンコースは難しいな!』と改めて感じたが、結果にはまあまあ満足していた。

この時はまだ2日後に挑戦するチャンピオンコース、グレニーグルスの悲劇など想像する事すら出来なかった。

...その3へつづく

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