2007/04/14

右翼ではありませんが日の丸が好き

海外に長く住むと勢い日本という国を強く意識するようになる。
なぜか理由ははっきり分からないが例外なくあらゆる場面で日本を応援したくなる。

自分は英国に住んでいる時間の方が日本で過ごした時間より長くなってしまったが、さりとて頭の中までイギリス人になった訳ではない。両親が日本人だからそう思うのか?そうでは無いと思うのだが、生まれて大学を卒業、就職して25歳まで日本から出たことが無かった。

25歳で渡英して33年が過ぎたわけであるから、こちらでの人生の方が長いわけである。
勿論イギリスも今では自分にとっては大切な国である。しかしだからと言って日本人である事を忘れられるであろうか。初めに書いたようにあらゆる場面で日本が関わっている時には、理由の如何を問わず日本の側に立っている自分に気付くことが多い。

オリンピックなども日本選手が活躍すれば当然応援に力が入る。F1のレースを見ていても自然と日本人ドライバーの佐藤琢磨を応援する。彼がリタイアしたならば、ホンダやトヨタと言った日本のティームを自然に応援している。昨年のワールド ベースボール クラッシック等はインターネットで中継された試合を夜中に起きて応援したものだ。
この様に観察するとなぜそこまで日本を応援したくなるのか疑問を持たれる人が居るかもしれない。断わっておくが小生は決して右翼ではありません、むしろ嫌いな方である。共産主義や左翼思想も嫌いである。 ではなぜ日の丸に愛着を感じたり日本をそこまで応援できるのであろうか。

それは我々日本人が好むと好まざるとに関わらず国籍を意識せざるを得ない状況におかれているからではないだろうか。

3年ほど前にウズベキスタンと言う国に拳士10名くらいで行った事がある。
現地の日本大使館には英国連盟OBでオックスフォード大学少林寺拳法部創設者の高橋博史氏が公使として赴任中であった。我々の目的は日本大使館が催す日本文化月間のオープンに少林寺拳法のデモ(演武)をして、日本の文化と少林寺拳法を紹介する事であった。

さすがに日本大使館が催すだけにウズベキスタンの政府も副首相が挨拶し、日本の大使夫妻と共に見学されていた。

初めに国旗掲揚があり、君が代が鳴り出すと参加者の日本人拳士は自然と歌い出す事になった。同時に心の中に熱いものが湧き出ている事に感動を覚えた。これは自分だけかな?と思っていたが後で同行の拳士に聞いてみたら皆同じ様に感じていた事が分かった。

そればかりか異国の地で聞く君が代に『涙が出そうになるほど感動した』と女性の拳士から聞かされたときには何か分かったような気がした。日の丸を背負って何かをすると言う事の意味が!

オリンピックなどで金メダルを手にした選手が君が代が始まった途端に泣くシーンを見た事がある。初めは苦しかった練習に打ち勝って金メダルを得たことに感動して涙すると思っていた。
それも少しはあるかもしれないが、涙の主な理由はそうではないように感じる。海外で聞く君が代は、特に自身が日の丸を背負った時には大きな感動を呼び起こすと言う事だ。

そこには右翼とか左翼とかそんなものは一切無いと断言できる。
日本の代表として何かをする時、日本人として誇りを感じ又他の日本人に対して責任を感じるからではないだろうか。

これは何も日本人ばかりがその様に感じるのではないと思う。何処の国籍でも自分の生まれた国は誇りに感じたいものだと思う。そしてその代表者として何か事を成し遂げた時にはやはり国旗を振りかざし涙する姿は万国共通であろう。

現在、日本の教育現場では国旗掲揚と君が代の斉唱(また斉唱時の起立拒否)が毎年問題になる。
教育者が国旗、国歌を無視する姿もどうかと思うがそれを強要する国も感心したものではない。これらの教師は生徒達にどの様に教えるのであろうか?

『日の丸は先の大戦で戦争のシンボルとして使われたから国旗とは認めない』『君が代は天皇家のみが繁栄するという意味だから国歌として相応しくない』とでも言うのだろうか。

翻って英国の国旗は世界的にも有名なユニオンジャック、国歌はGod Save the Queen(神よ女王を護り賜え)。両方とも戦争の数では日の丸や君が代をはるかに凌いでいるだろう。しかるに英国民がユニオンジャックに中指立ててソッポ向いてる奴など見た事が無い。

もし英国旗をユニオンジャックから変えるとして、どの様なデザインが考えられるであろうか。現在の一目で英国と分かるユニオンジャックより優れた価値のあるデザインが簡単に出来るとは考えられない。

国旗のデザインとは国の歴史が作ってきたもので簡単に変えられるようなものではない。日の丸もユニオンジャックやアメリカの星条旗に劣らぬ世界的認知度が高い国旗である。これも長い歴史から作られたデザインであるからこそ世界中で認知度が高いと考えられる。

国旗は国を表すシンボル マークである。だからこそ、そのシンボルは大切だ。
シンボルが悪いイメージ(戦争)を持っているのなら国民はそのイメージを変える努力をしなければならない。只単に別のシンボル(国旗のデザイン)に変えたところで世界の人達は日本国民が変わったと信じるだろうか。その事を良く知っているからこそ英国は血で塗られたユニオンジャックでも変えることは無い。
そのユニオンジャックの元に良い事(国際貢献等)も何倍もやろうとしているわけだ。

国歌も同じで君が代が『天皇家のみが栄える』と言うのなら、英国歌は『神は女王だけを救う』とも解釈できるではないか。言葉尻をとらえたこの様な揚げ足取りは教育者として果して正しい事と言えるのであろうか。

真の教育者であるならば日の丸が世界中から尊敬に値する国のシンボルになるように、生徒達にその為の努力を教えるのが本筋ではないか、『共産主義の目指す社会には相応しくない』と言う反対では多くの支持は得られないだろう。

国も又しかり、国旗、国歌を強要する都度に見え隠れする戦争への不感症社会の地ならし。国を護ることは大切な事ではあるがそれは政府を護る事では無い。日本国民の生命と財産を護る事であり、政府の面子の為に海外の戦場に日本人を送り出そうと言うのならその様な政府はご免こうむりたい。

ともあれ小生はこれからも日本を、日本人を応援したい。
それが自分のアイデンティティに誇りを持てる最良の方法であると信じるから。

9 件のコメント:

  1. いつも記事を楽しく読ませていただいております。
    今回の記事、深く共感いたしました。
    「日の丸がすき」というときにわざわざ「右翼ではありませんが」とつけないといけないのが日本の不思議なところですね。自国の国旗が好きだと右翼なら、外国人はすべて右翼になってしまいます。
    私も、トルコに派遣されたときに君が代を歌い、日の丸を仰いだとき、胸に熱いものがこみ上げてきたことを鮮明に記憶しております。

    さて、今回の記事ですが、私の授業で教材として使用させていただきたいと思うのですが。よろしいでしょうか。
    日本人であることを考えさせる教材として、高校生に教育的効果が大きいと思いますので、ご考慮下さいませんでしょうか。

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  2. 山本さんご無沙汰しております。
    コメント有難う御座いました。
    この様なブログがお役に立てるのであれば嬉しく思います。どうぞご自由にお使い下さい。
    山本さんも公認デモティームの一員として今後も色々な国へ行かれ、少林寺拳法をそして日本を紹介して頂きたいと思います。少なくともこの様な時には日本人として恥ずかしくない様に胸を張って日の丸と君が代に向かい合いたいものです。ご指摘のように『日の丸』や『君が代』の事を言う都度に右翼ではありませんと断わるのも変な状況ですね、早くこの様な認識が変わってくれるように期待したいものです。

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  3. 初めてコメントを書きます。濃い内容のブログに驚いてます。 ウズベキスタンで日の丸を背負いデモンストレーションをさせていただいたときは本当に胸が熱くなり、ドキドキしました。 海外に長く滞在されているからこそ、より日の丸への思いを記事から感じました。
    写真を見てあの時のことを思い出し、懐かしんでいます。

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  4. 功二君へ
    コメント有難う、早いものでウズベキスタン訪問から3年が過ぎた事になります。 君が数日早くロンドンに来て三重君と緊急にデモ用の演武を作り、何とか間に合った時には嬉しく思いました。 初めて観る少林寺拳法の演武に観た人達が大変興奮していた事も印象的でした。 環境的には我々先進国に住む人間には少々厳しい事もありますが、自分達だけの価値観で他国を判断する事は避けなければなりません。サマルカンドのようにヨーロッパとアジアを結ぶシルクロードの重要な拠点であった場所で、少林寺拳法のデモンストレーションが出来た事も今では素晴らしい経験となった事と思います。
    ブルー モスクの美しさは今でも小生の印象に強く残っております。

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  5. やっと、何とかコメントが送信出来るようになりました。
    ご無沙汰しています。
    「日の丸」が好き・・と云う記事、とても面白く読ませて頂きました。
    私も右翼でも左翼でもありませんが、日本人でしたら、当たり前の事のように思いました。
    日の丸が世界中から尊敬に値する国のシンボルになるように・・・と書かれている所にミズノさんの心意気を感じました。そして、私自身も、日の丸を自分と置き換えて、世界中・・とまでは行かなくとも、そんな事を人生の指標に生きていきたいと改めて記事を読み、思ったものです。
    世界中、いろんな人が生きていて、そんな中で、世界の人から迎えられる、立派さを身につけていきたいもの・・・と思いました。では又・・・

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  6. Yamamoto さんへ
    具体的なコメントありがとうございました。我々海外に住む日本人には事ある毎に(好むと好まざるとに関わらず)日本や日本の文化そのものを意識せざるを得ない環境におかれていると思うのです。その様な観点から日本の中で議論になる事が多い日の丸や君が代に対する率直な気持ち(疑問)を書きました。
    教育者(学校の先生)が生徒に与える影響は計り知れません、であるからこそ戦争の責任をシンボル(国旗や国歌)のせいにして、人(自分たち)の責任を回避して欲しくないと思うのです。日本の国家イメージや信頼、尊敬は人があって初めて出来るものだと信じます、シンボル(目先)を変えるだけでは得られないと言う事を知ってほしいと思うからです。

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  7. その事で日本の現状では右翼、左翼でいえば教育の現場が乱れてると思います。いじめ等が今でもあり、小学生から高校生など自殺があっても教育委員の対応が非常識で人間としての対応がなしてないと思います。日の丸が好きなら右翼と決め付けるのがおかしく思いますよ。日本人でしょう、可笑しいと思います。

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  8. 日の丸・・・私は18歳の時にアメリカに渡って5年、イギリスに通算14年住みました。外国に対して日本に対する相対的な観念的に大事にしたいという気持ちになったことを思い出します。最近万葉集を読んだら、関西出身の私にとって身近な場所の歌がたくさん詠まれています。そして、自分の育ったところはよいところだなと、今住んでいる東京に対して大事にしたいという気持ちになりました。これを突き詰めると、寮に住むと、自分の家族が懐かしくなり。他人が話していることを聞いていると、自分の考えを顧みてしまいます。つまり、普段気を付けていないと気付かない物事や気持ちの大切さに、比較対照が現れてその価値を思い出しているのではないでしょうか。

    少林寺拳法でいうところの八方目の大切さがここに在ると思います。見ているようで、見ていない、しかし観ている。心・気・力の心ではないでしょうか。事実を受け入れる。

    日の丸を大事にしたいという気持ちで、日本人であることの意味を腑に落とし込みます。
    はるき

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  9. 上崎さん、はるきさん 投稿有難う御座いました。
    このところあまり書いておりませんが、前のものにもこの様に目を通していただいている事に
    感謝いたします。
    『日の丸、君が代』等と書くと勢い右翼の代表か、左翼の批判かに大別される両極のイメージ
    が日本では定着している様に感じます、少し冷静に考えてみればどちらの陣営も自分達の都合を
    『日の丸と君が代』に押し付けて、良い、悪いと言っているに過ぎません。
    これは責任ある者の言う態度ではないと思うのです。
    対案があり(その様なものが簡単に出来るとは思えませんが)批判するのなら未だ考えることが出来るかも
    知れませんが、感情的な責任転嫁の上での否定や肯定等は、先進国の国民の態度とはとても自分には
    思えません。今一度国旗、国歌の持つ意味をよく考えたいものです。

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