2008/10/11

車の二極化(その1)

このところ原油の先物相場の値上がりに引きずられ、ガソリンの値上がりが随分と高くなってしまった。そのせいもあって車の売れ行きが酷く落ち込み、アメリカやヨーロッパなどはこれまでのところ前年比でかなり落ち込んでいるようだ。

そんな中にあって車の二極化が目立つようになってきた。一方は高級車と呼ばれる種類の車で一台数千万もする車、もう一方は経済の方向性もあって小型の小排気量車と云う具合である。

高級車と呼ばれる車を買う人達はいつの時代もそんなに変わらないのかも知れない。年間生産台数が数百台にも満たない高価格なスポーツカーや、排気量が6,000ccを超えるリムジン等を買う人達にとっては、少々経済の風向きが下方修正されたからといってどうと云うことも無いのであろう。

しかし自動車会社が主な顧客としている一般人は大きく経済の動向に影響される事は云うまでもない。特に昨今の世界経済の不透明さや、原油価格の高騰に引きずられた燃料価格の高止まりは、これらの車を買う人達の心理状況にも大きく影響を与える事は今さら云うまでもない。

アメリカやヨーロッパの新車売れ行き状況は前年度比のマイナス15%~30%という具合で、昨年まで他の自動車メーカーが苦戦する中、独り勝ちの状態であったトヨタまでもが、今年の販売台数を大きく下方修正するほどである。

ハイブリッド技術を誇り、他のメーカーとはかけ離れて成功をしてきたトヨタであるだけにその影響は世界中の車メーカーに大きな不安を与えた事は事実であろう。そのトヨタが自慢のハイブリッド車ではなく、コンベンショナルな技術を使って小型車を発売しようとしている。名前はIQと云うらしいが、いかにもIQ(知能指数)が高いものが選ぶと云う様な斜に構えた見方は自分だけかも知れない。

以前の自分の好みは単純だった。ポルシェやフェラーリは今でも見ると良いなとは思うが、以前はこのようなスポーツカーに乗りたい!と心底思っていた。乗りたいと思っても簡単に買える様な車ではないことは充分に承知していたが、それだからこそ何時かは買ってみたい車であった。

そんな自分が最近興味を持つようになった車は全く逆な方向の車である。現在乗っている車も結構大きいが、この様な大きな車はガソリン代の高騰と云うだけが理由ではなく、何か車に乗せられている感じが強いのだ。

確かにパワーも有り、ほとんどの取り回しはパワーアシストが備わり、高速走行も安定しているし楽チン極まりない。しかしながら前述した車に乗せられている感はどうしても拭えず、車の持つポテンシャルをフルに使い切る場所など、ドイツのオートバーンかサーキット位しかない。

以前ドイツを旅したときメルセデスCクラスのレンタカーで時速200kmオーバーで1,500km程を運転した経験が有るがあの様な道路環境は他の国には存在しない。ドイツの整備されたオートバーンであっても時速200kmオーバーを連続して維持することは無理である。追い越し車線に出てくるトレーラーや小型車に行く手を阻まれてしまうからだ。

それでも合法的にその様な運転が許される国であれば、ポルシェやフェラーリも魅力的なチョイスであろう。経済的事情が許すのであれば本当に欲しい車だ。しかし現実に英国に住む自分にとってロンドン域内では30マイル制限も珍しくない。日本に比べればいくらかは道路事情がましかも知れないが、ロンドン市内や周辺の高速道路には至る所にスピードカメラが設置されている事を考えれば、高性能の車はもはや宝の持ち腐れに等しい。 

そればかりか普段の乗り方が車の持つポテンシャルの半分も使わないとすれば、エンジンやサスペンションに掛かるストレスも相当なもので車にもよろしくないことは言うまでもない。以前聞いた話だが、『日本で使われているメルセデスSクラスはエンジンが回らない!』と言うのが定説らしい。普段ショーファー ドリブンの車として使われ、車の持つポテンシャルの30%くらいの速度域が、日常使われるスピードの上限である事がその主な原因との事だった。(その2に続く

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