2008/01/28

これまでに会ったグレイト ミュージシャン(その1)

これまでに何人もの偉大なミュージシャンに会った。自分の場合は主にジャズのミュージシャンが多いが、あえてここではミュージシャンと呼ぶ。人によってはアーティストと言う人も居るが確かに音楽を生業とする人達は芸術家かもしれないが、小生はミュージシャンの方がより親しみを持てるように感じる。

「アーティスト」 今一つピンと来ない呼び方だと思いませんか?

もし自分がミュージシャンだったらおこがましくて芸術家などととてもそんな風に呼んでもらいたくはない。時々これがアーティストか?と思うようなチャンチャラおかしいのをそう呼んでいるのを聞くと天の邪鬼の自分は余計にそんな輩と自分が愛するミュージシャンを同一的には呼びたくは無い。

かなり古い話だがまだ日本に住んでいた頃、フランク ロッソリーノと言うトロンボーン奏者に演奏会の直後、名古屋市内のジャズ喫茶で会った事がある。たしかカウント ベイシー楽団の一員として来日し名古屋でも演奏したのだが、彼が公会堂の舞台のあと自分が行き付けのジャズ喫茶に後援者と共に現れたのだ。

残念ながら当時は英語が全く喋れない時だった。隣の椅子に腰掛けているフランクに『演奏会は素晴らしかったねェ』と話し掛けたいが言葉が出ない。そのうちに何人か地元のミュージシャン達が店に集まって来た。小さな店だったがフランク ロッソリーノと言うトロンボーンの大御所と、名古屋在住のジャズ ミュージシャン達がお酒を酌み交わしながら始めたジャム セッションは非常に盛り上がった。

往々にしてジャズ ミュージシャンの場合、大きなコンサートホールよりもそのメイン イベントがはねた後のこの様な小さな酒場の方が盛り上がりやすい事を何度か見ている。当時の有名なジャズクラブはその多くがそれ程大きなステージやホールは無い。自分が見た80年代当初のヴィレッジ ヴァンガードは連日ジャズ ジャイアンツがプレーしていたがそれでも観客が100名も入れば一杯と言う感じだった。当時開店したばかりのおしゃれなジャズスポット ファット チュズデーにも行ってみたが店は大きくきれいだったがステージは結構狭かった。ある意味ジャズのミュージシャンは観客との距離感を大切にするのかも知れない。

マイクを通した音を大きなコンサートホールで聞かせるより自分の得意とするmusical instrument(楽器)の生の音を観客にぶつけているのだと思う。それによる観客とのコミュニケーションがジャズの持つ醍醐味だと言う事を一番良く知っているからこそ、ミュージシャンもジャズ好きなファンもコンサート会場での演奏会が終わるやいなや近くの小さくても名の知れた店に移動すると言う訳だ。そこでは好き者同士の第二幕(これが彼らにとっては本番かもしれないが)が始まり飛び入りがあったり、喝采や手拍子など大いに盛り上がる事を双方(ミュージシャンとファン)が知っている。お金を貰って演奏しているコンサート ホールよりも遥かに楽しそうな光景には、これが本心から音楽を楽しんでいるplayer演奏者とaudience観客が一体となった最高の環境なのであろう。

そんな中の一人がアート ペッパーと言うアルトの名手だ、彼にはロンドンのロニースコットクラブでの演奏会で会った。日本から持ってきた物を含め7枚くらいの彼のLPを持参した。最初のステージが終わり控えのバンド演奏が始った時に楽屋を訪ねた。この場合クラブの席係りにティプを渡しておいたので気軽に案内して紹介してくれた。まだロンドンに住み始めてそんなに長くない当時で英語も片言だったが『素晴らしい演奏だったヨ』と言うと彼の方から嬉しそうに握手してくれた。持参したLPにAutograph(サイン)を依頼すると一枚一枚に小生の名前とペッパーのサインをしてくれた。(その2に続く

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