2011/08/02

トップの暴走に何も感じない? 日本の常識が問われる事件

時間的には少し古くなるが、日本からのニュースを見てオヤ!と思う時が度々ある。もしかすると長いロンドン生活で、私自身の価値観が多くの日本国内に住む人達と掛け離れてしまったのかも知れない。

昨年秋の参議院選挙において、柔道の金メダリスト谷亮子さんが参議院選に出馬を表明したときの出来事である。

この報道に対して読売新聞の渡辺氏が、『事前に何の相談も無い、彼女の亭主は巨人軍の選手である、今後責任は持てない』等とニュース欄に出ているのを見て驚いた。卑しくも日本で最大部数を誇る新聞社のヘッドの発言とはとても信じられない発言に、日本の言論界から厳しい批判が出る事を想像していたが、全くあてが外れてしまった。

何かがおかしいな!と感じるのは自分だけなのか?と再び問い直してもやっぱりこの現実は、不思議と言う一言では片付けられない程の重要な事件だと思うからである。もし同様な事件が英国で起きたとしたら、大きな社会問題となる事は避けられない。

なぜならばこの様な場合には完全にパワーハラスメントに当たり、厳しく社会から糾弾を受ける事は火をみるより明らかである。

もともと数々の物議を呼ぶ発言を繰り返してきた渡辺氏に対して、多くの国民は不感症になって居るのであろうか? あるいは文句を言ってもどうにも成らないとあきらめているのか? もしそうであるならば日本と云う国は先進国と呼ぶには?マークが付くのではあるまいか。

言論の自由が重要である事は言うまでもない、しかしそれは社会的に強い立場の者が自分の優位的立場を利用して、弱者の意見を封じ込めても良いと言う事ではない。ましてや日本における最大発行部数のみならず、テレビ放送も傘下に置く読売新聞のトップが、自分の指示する政党(自民党)から立候補しない候補に対して、候補者の夫君を指して脅す等とても正気の沙汰とは思えない言動ではないか。

数多くの批判が出る事を予想したが、見事に裏切られてしまった。

別に予想が外れた事が残念ではない、つい先日中国の新幹線が多くの死傷者を出した時に、中国政府の対応に対して、厳しい批判を浴びせた日本のメディアであればこそ、自分達の国で起きている深刻なパワーハラスメントには、読売新聞は別としても他社の幾つかから、批判記事が出ても良さそうではないか。中国政府が取った情報規制には果敢に批判を繰り返す日本の新聞社が、今ひとつ世界から信頼されない理由が、この様に身内に甘い体質が見透かされて居るのかも知れない。

世界の一流紙と呼ばれる新聞社は、それぞれに独自のカラーやスタンスを持っている。記者クラブがあり、統一された情報が、数ある新聞社から、殆んど同じ様な論調で流される事で、国民が安心するのであれば、中国を批判する事など片腹痛いと言われても仕方がない。

日本が真に自由で先進国と胸を張るのであれば、今回の様な身内に甘い体質を根本から変えない限り、世界はその様には見ないであろう。

2 件のコメント:

  1. 日本ではメディアは世論を作り出すために国民を洗脳するものですから、
    民主主義国家の国民のための情報など報じられる筈がありません。

    このことはYoutubeでは言及されている例がありますが、地上波では全くなし。
    日本は民主主義の先進国ではありません。そう思います。

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  2. Yanagita さん 

    熱心に投稿いただき有難うございます。

    貴方が指摘される通り日本のメディアの情けなさには私も呆れる事が度々あります。
    大手の新聞社のみならず、同じ会社がテレビ放送事業もしているのですから情報が偏る事はある意味単純な理由です。多くの先進国ではこの様な事は禁じられています。

    中には政権のお先棒担ぎと言われるメディアも確実に存在していますね。
    政権は財界の顔色を、メディアもスポンサー(企業)の顔色をうかがう構造では、貴方が指摘される『国民を洗脳するもの』と言いたい気持ちは良く分かります。

    本来の民主主義国家であれば、政権は国民の意見(民意)を反映させる事が最も大切な事だと思いますが、日本の現状では普段批判している近隣の一党独裁国家と大して違いはありませんね。

    トランプ氏が良く使う『フェイクニュース』と言う意味が日本のマスメディアにも共通した問題かもしれません。

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