2011/07/19

ナデシコ ジャパンが証明したスポーツの持つ力

2011年7月17日は日本のサッカー界においては、大きな歴史を作った1日となった。
言うまでも無くナデシコ ジャパンのワールドカップ優勝と言う金字塔である。

3月11日の東日本大震災の後、原発事故、政治不信など次々に続く災害やそれに伴う政治の無力感に、多くの日本人が自信を失いかけていた。そんな中で行われたフットボール女子のワールドカップであったが、予選を2位で決勝ラウンドに進んだナデシコ ジャパンのその後の戦いぶりは、目を見張る活躍で世界中を驚かせた。

ワールドカップ3連覇を狙うドイツに勝った時は、単に運が良かった!と思った人達も世界には大勢居たと思う。しかし本当の実力が準決勝のスウェーデン戦で見事に発揮され、スウェーデンも打ち破ってついに念願の決勝戦へと進んだわけである。

普段フットボールに特段思い入れがある訳でもない私や家内までもが、テレビの前で思わず大声で声援を送る光景等、過去に経験が無い。確かにワールド ベースボール クラッシックで、日本が世界一になった時にはパソコンから流れる酷い画質の映像に一喜一憂した事は事実である。しかしそれは自分でも好きな野球の応援であるので、特別不思議な傾向でも無いと思う。

翻って今回はそれ程特別な思い入れもないフットボール(アメリカや日本ではサッカーだが)の試合である、もし日本の参加が無ければ自分は当然見なかったであろうし、もし予選で敗れていたら、これ程世界中の賞賛を受ける事も無かったと思う。

BBCの解説していた(名前は忘れたが)元ワールドカップのイングランド代表の一人が、『日本は体格差を克服して、バルセロナの様な技術とティームワーク、そしてスピードでこれまでの常識を変えた』と称えた。

決勝戦での戦いぶりは、今思い出しても素晴らしいの一言に尽きる。前半を0対0で折り返し、後半に入り1点を先行されたが、ナデシコのメンバー達は自信を持って挑み続けた。 終盤ついに追いつき、延長戦に入ってからが又素晴らしかった。先に又アメリカが得点した時には、いよいよこれで負けるのか!と多くの人が思ったのではないだろうか? この時も驚かされたのは終了間際に、同点にこぎ付けたナデシコの底力である。

事ここに至ってはもう負ける訳にはいかない!と感じたのは自分だけであろうか。ペナルティ キック戦に入る前に、日本ティームの監督始めメンバーが、笑顔で談笑している光景が飛び込んできた。反対に緊張した面々のアメリカティームを見た時に『おや!』と思った。これまでの日本人アスリートとは随分様子が異なったからである、まるで日本とアメリカが逆転したような光景を目の当たりにした時、これはひょっとしたら勝つな!!!と言う予感が走ったのを覚えている。

緊張した面持ちのアメリカの選手が出てきた、この選手には申し訳ないが自分は心の中で『外せ!』と叫んでいた。次の瞬間、何と言うことかナデシコのゴールキーパは見事に足でボールを弾き返した。

次に出てきた日本の選手は、余裕を見せ付けるかのごとく、悠々とゴールキーパーの逆方向にシュートを決めた。 その後の彼女の余裕のある穏やかなガッツポーズを見て、自分は日本ティームの優勝を確信した。この場に立って最も緊張しているのは日本のナデシコではなく、2度も先行しながら追い付かれた事にショックを受けたアメリカの選手達であろう。案の定2番目、3番目の選手も外してしまった。4番目のナデシコがシュートを決めた瞬間柄にも無く涙が出る事を止める事が出来なかった。

輝かしい表彰式で、喜びを控えめながら爆発させた日本の選手達には惜しみない拍手が世界中から送られた事であろう。BBCの放送は賞賛と共に終了したが、日本から流されたNHKのニュースでナデシコの面々が述べた言葉にはまたまた感心してしまった。そこには自分達の勝利を支えてくれた人達への感謝の言葉や、震災で苦しむ被災者への言葉、はたまた破れたアメリカの選手たちへの、思いやりや感謝の言葉など、この若さでよくぞと思えるほど完璧であった。

スポーツをお金に換算する事など不謹慎だと言う人も居るが、彼女たちの勝利がもたらす経済効果が1兆2千億円と予測する機関もあるらしい。それに付けても彼女達に支払われる優勝の報奨金が男子の10分の1にも及ばない金額では、日本は相変わらずこの方面では途上国レベルと言われてもしかたあるまい。

今一度ナデシコ ジャパンの一人ひとりに感動を有難う、貴女達のワールドカップでの優勝は決して日本人に忘れる事のない勇気と自信を与えた事でしょう。そればかりか世界中のあの試合を見た人達に、大きな感銘を与えた事は疑いようも無い事実だと信じます。

0 件のコメント:

コメントを投稿