2008/04/09

調査捕鯨は日本人が考える以上に複雑だ

このところオーストラリア政府は政権が変わってから日本の調査捕鯨に厳しい態度を示している。日本政府のこの問題に対する反応は余りにも楽観的といわねばならない。先ず何が楽観的かと言えば、来日した外務大臣との会談では『この問題(調査捕鯨)が両国の他分野に対する影響は極力排除しなければならない事で合意した』?この様な意味不明の言い回しは外務官僚お得意の落としどころかも知れない。

その外務大臣閣下が日本に居るうちに、本国では環境大臣が『調査捕鯨は違法だ!』と決め付けて、『国際裁判所に提訴する』とのたまわって居るではないか。何のことはない日本の外交力の無さ(脆弱さ)を見せ付けられたようで、がっかりしたのは今回が初めてではない。

高村外務大臣閣下は我が少林寺拳法連盟の議員連盟会長であらせられるので文句を言うつもりは無い。しかしながら外務官僚が当然掌握していなければならないオーストラリア政府労働党の新キャビネットの閣僚発言が、どの様な外交問題を引き起こす可能性があるかと言う時に、玉虫色の落としどころと言う手法を相変わらず使っている事である。

南氷洋上でおきているグリンピースやシーシェパードの行動を見れば、その様な悠長な事を言ってお茶を濁していられない時に来ている事は誰が見ても分かる。アメリカのCIAリストによれば、シーシェパードは『環境テロリスト』のカテゴリーに含まれているし、グリンピースなる団体は国際環境保護団体を名乗ってはいるが、その中に居る人達は本当の意味で環境保護を訴えている人ばかりではない。政治活動の一環として環境は今や票に繋がる重要なマニフェストである。 

環境保護者の多くは善意によるところは多いが、残念ながらその純粋さが逆にカルト主義者に完全に洗脳されている事に、気が付いていない人達がほとんどである。この様な場合オウム事件を検証してみれば分かるように、傍がいくら正論を言っても麻原彰晃に洗脳された信者には全く通じないのと同じである。では何が洗脳されているかといえば『鯨は賢い!』『鯨は可愛い!』『鯨は絶滅の危機にある!』と言うことの3点を無条件で信じている。信じることは自由だがそれらの3条件を信じる!信じない!の自由は個人にあることを認めようとしない事が問題を大きくしている。 

問題はグリンピースのメンバーも、それ以外の人達もその事態を認識していない事である。そこから生じる考え方の違いは理論でどのように説明されようが、麻原に帰依したオウムのメンバーに正論をぶつけるのと同じ結果であることを理解していない事と同じだ。一般的に英国やアメリカでは捕鯨に否定的な人でも、グリンピースやシーシェパードと皆同じ意見と言う訳ではない。論理的に話せば日本の調査捕鯨に理解を示す人も居る。しかし捕鯨カルトに洗脳された人達にはこの論理は通用しない事を理解しないと永久的に無駄な努力をする事になる。

国際裁判所にオーストラリア政府が提訴するというのなら日本政府も受けてたつのも一つの選択だ。その場において日本の主張をぶつける事もアピールにはなる。欧米のメディアはその多くが半捕鯨の立場が強い事も知っておかねばならないが、それでも科学的そして論理的裏づけのある裁判でのディベートは捕鯨に対する認識を改めさせる可能性はある。グリンピースやシーシェパードのスポンサーと成り下がったオーストラリア新政権に媚を売ってあいまいにするよりも余程意義があるように思う。

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