2008/03/06

最近の車の乗り心地

車のサスペンションと言うものはそれ自体が非常に乗り心地に大きく作用する事は誰でも知っている。

しかしながら昨今のモータースポーツ、とりわけフォーミュラー カーでのサスペンション開発は乗り心地以外にも重要な要素があるようだ。アクティブ サスペンションやリアクティブ サスペンション等と聞くとF1のサスペンションを想像するが、スプリングの代わりに油圧を使ったこれらのサスペンションは90年代にはいくつかのティームが採用し良い成績を収めたが、93年にはレギュレーションが変更され使えなくなってしまった。

油圧によるサスペンションはフランスのシトロエンが有名である。シトロエンが初めて油圧(ハイドロ ニューマティク)と呼ばれる窒素ガスと油圧による革新的なサスペンションをDSというシリーズで出した事を記憶しているが、実際にDSにはパリでタクシーに乗った事が1回だけある。そのときの印象は車と言うより舟に乗ったときの様な、路面からの突起に対する反応が実に柔らかだった事を覚えている。その後2度程CXというシトロエンにも乗ったがDSの時程の感激は感じなかった。

CXの後継車XMや一回り小型のGS、最新のC5など益々進歩したシトロエンのハイドロシステムではあるが、いつの間にやら優れたスチール製のスプリングを使ったサスペンションとの違いが気薄になってきたように感じるのは自分だけだろうか? 

最近では良くできた電子制御のエアー サスペンションが、いつの間にやらハイドロのサスペンションより乗り心地やハンドリングを含めて評判も良いようである。しかしながら1950年代中ごろにハイドロリックの優れた乗り心地をより簡素なシステムで実現したシトロエンの実績は少しも価値が下がるものではない。

確かにサーキット走行には柔らか過ぎる乗り心地であろうが、その作られた目的とするところが快適さの追求であれば現在でも充分に通用する技術であると思う。

20代くらいまではとんがった(硬い)サスペンションの車を良しとした時代もあったが、50代も後半に達する頃には価値観が大きく変わってくる。何より体が正直で速く走る車も確かに魅力ではあるが、長時間運転しても疲労感の少ない車が欲しくなる。

それにしても昔からフランスの車は大衆車にも関わらずシートやサスペンションに随分と優れたデザインを取り入れたものが多かった。ルノー サンク(5)やシトロエン2CVなど大衆車の先端にあるモデルでもなぜこんなに乗り心地が良いのか?と不思議だった。別に凝ったサスでもなかったのに。

そこへゆくと同年代の日本車の大衆車ときたら乗り心地は随分とひどかった。近年こそこれら欧州の大衆車と変わらぬまでになってはきたが、エンジンがハイブリッドや燃料電池に置き換えられる時代に車の持つ快適な移動手段としてのツールとは?という問いかけも重要な意味があると思う。静かでエアコンも有りステレオやカーナビだけが快適な移動手段のツールでは少々寂しくは無いか。

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