2008/02/12

アメリカン ポリテックスが面白い

今年はアメリカの大統領選挙の年であるが、その予備選挙が全米ばかりでなく世界中から注目されている。そのメイン アクター(主役)の一人が間違いなくバラク オバマであることは言うまでもない。知名度においてヒラリー クリントンには当初大きな差が有った事は確かである。しかし多くの予想(自分もその一人だが)を覆して、民主党の大統領候補に一番近いとも言われはじめている。

英国に住んで34年間、日本と英国そしてヨーロッパ諸国やアメリカを同時に見てきたが、正直言ってまさか今年のアメリカ大統領選挙の有力候補にバラク オバマ氏が選ばれるとは想像も出来なかった。いくら国やEU法の中に人種に対する差別には罰則があるものの現実には諸々の人種的差別は実在する。それを渡英以来見てきたのでよけいに信じられない気持ちの方が強かったわけだ。

白人社会に限らず日本社会の中にも差別や偏見は大なり小なり存在する。人間の営む社会であれば異人種や異文化に対する拒絶反応は何割かの割合であるのが普通である。そんな事絶対に無い!などとナイーブな事を言う人は現実の社会を見ていないか、いびつな部分から目を背けているだけに過ぎない。


英国は80年代初頭に女性の宰相を輩出しているので、政治家としての能力さえあれば一国の総理大臣にまでなれる事をすでに証明した事になる。 アメリカにはこれまで女性の大統領は無かったのでヒラリー クリントン氏が選ばれれば初の女性大統領である。これまでのところ黒人初のバラク オバマ氏との非常に接戦が続いているが、ある識者によればすでにバラク オバマ氏に次期大統領は決まっている!と言い切る人も居る。

アメリカ国内の予備選は単にお祭り好きな国民の、大統領選挙を盛り上げる為の茶番であるとまで言い切るのである。もし本当にオバマ氏が大統領になったら面白いなと小生等は思うが、内心無理じゃないかなと今でも怪訝なのだがはたして11月には誰が次期大統領に選ばれて居るであろうか?

バラク オバマがもし本当にアメリカの次期大統領に選ばれるようであれば、アメリカと言う国は少なくとも日本より政治の上では遥かに先進的である。 ヒラリー クリントンにしても日本よりは先進的であろう。日本では未だに女性の宰相候補すら出ていない!ましてや外国人が困難な日本国籍を取得し総理大臣候補になる事など想像も出来ない。戦後の政局もそのほとんどの期間を自民党が独占してきた事を考えると日本での女性総理や外国出身の総理大臣は出る予想すらつかないのが実情ではないか。

アメリカのみならず英国も子供から大人まで政治の話を良くする。自分の記憶では子供の頃その様な、政治の話題に口を挟む事は親や周りの大人も喜ばなかった。そればかりか大学当時の学生運動にさえ随分と社会の風当たりは冷たく、当時の学生達がノンポリ(ノンポリテクス)と称して政治に関わりを持たない事が就職時に大きく影響した事を記憶している世代である。 今日の子供たちはどうか分からないが、日本の小学校や中学校で政治に対するディヴェートが行われる事など想像が付かないが?現実はどうであろう。

子供に政治に関わりを持たせない社会と、子供から政治に関心を持たせる社会?こんな違いからも民主主義の土壌は鍛えられるのかも知れない。人種差別が叫ばれた1960年代までのアメリカ、わずか240年にも満たない歴史しか持たない移民で構成されたアメリカが、その本領を発揮するかのように公民権運動から黒人大統領まで誕生させるとしたら、その国の先進性は未だ女性の宰相すら出した事のない日本とは歴史以上の開きが政治の上で出来てしまった事になるのではないか。

その様な事を考えていると、はたして日本は彼の国と対等に付き合っていけるのだろうか。あまつさえアメリカの属国であるとか、50何番目の州と言われているのに。

先進国のみならずアフリカにも女性大統領は存在している。西アフリカのリベリアで誕生したジョンソンサーリーフ大統領その人である。内戦で疲弊したリベリアを立て直すべく奮闘しているが、ヨーロッパやアメリカ等の経済先進国に媚を売ってきたこれまでの大統領と違って、はっきりものが言える大統領である。すぐに先進国に取り込まれてしまい、賄賂と特権意識ばかりで内戦を収められなかった「男の大統領」より、余程優れた大統領と言わねばならない。

この様に見ると国の政治に対する先進性は、その国民が「如何に柔軟に政治をとらえ、又国を変えていこうとしているのか」が選ばれる人達の多様性と言う形で表れてくるようにも考えられると思うが。とにかく11月が楽しみである。

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