2007/12/19

階級社会

日本人には中々理解できない事の一つにヨーロッパの階級社会がある。

その中でも英国は階級社会を現在も保っている国であることは誰もが知っている。 階級社会はインドのカースト制度のように非常に厳しい制度(同じカースト意外との婚姻は認められない)や英国のように主に所属する社会制度によるもので婚姻等の自由はどこのクラスであろうと自由なものとに区別される。 おそらく19世紀辺りまでは英国においても階級を越えた結婚など考えられなかった事は容易に想像されるが、現在の英国における階級社会はそれらの問題は聞いたことが無い。

日本でも江戸時代には士農工商と言う階級制度があった事は歴史で習って知っている。 現に明治、大正、昭和と時代が過ぎてはきたが個々の家庭における明治以前の社会制度の出自は21世紀に入った現在でも知る事は可能である。

しかしながら江戸社会の階級制度が崩壊してから150年近くにもなると、ほとんどの日本人にとってはなかなか階級社会そのものがイメージできないのも事実である。自分も渡英するまで階級社会など意識した事が無かった。幸いな事に我々英国に住む外国人は一般の英国人からすれば自分達の社会に帰属(昔から)する人達とは違うわけで、単純なクラス分けをする事が出来ない為いわゆる彼らの階級社会に当てはまる事はない。

外国人でも旧植民地から移り住んできた人達には階級社会を当てはめる事は可能である。主に英国内で単純労働に従事した人達が多かった為そのほとんどがワーキング クラス(労働者階級)と呼ばれるクラスに所属する事になる。生粋の英国人達のほとんどがこのワーキング クラスになるわけであるが、そのほとんどが自分達の所属するクラス(労働者クラス)に強い誇りを持っている。

この事実をはじめて知ったときには意外な気もしたが、彼ら労働者階級に所属する人達は自分達のクラスそのものに何のコンプレックスも持っていない。そしてそれ以外のミドル クラス(中産階級)やアリスト クラテス(貴族社会)と呼ばれる人達に対する対抗意識は有っても嫉妬や羨望が無い(本当は有るのかも知れないが)事は事情を良く知らない(分らない)外国人には中々理会出来ないことである。

労働者階級の上にミドルクラス(中産階級)と呼ばれるクラスがある。日本で一頃統計を取ると80%以上の人達が自分の事を中産(中流か?)と答えたそうだが、これなどは英国流に判断すれば確実にワーキング クラスの分野に入る事になる。

英国内で中産階級と呼ばれる人達は職業で言えば大学教授や弁護士がローワ ミドルクラス(中産階級の下部)で入れ替わりも存在する。ではアッパー ミドルクラスと呼ばれる中産階級の上層部に属するクラスにはカントリーマン(郊外に住むジェントルマンと云う意味で田舎者ではない)やレイディと呼ばれたりするらしい。

こんな社会を見ていると江戸時代以後の日本という社会は実に急速に近代化を成し遂げたかが良く分る。そして日本と比較すると現在でも階級社会を引きずっているイギリスという国は我々の基準では計る事の難しい社会構造であることが良くわかる。

自分としてはその様な階級社会の無い国(時代)に生まれた事を良かったと感じているが。

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