2017/03/22

フェイクと真実

アメリカの大統領選挙から始まり、新しい大統領に選出されたドナルド・トランプ氏が既存のメディアに対して、フェイクニュース(偽のニュース)を流されるとしてインタビューを拒否している姿が報道され、多くの人達が驚きの視線で事の成り行きを見守っている。CNNやNew York Times、Washington Postと言った大手のメディアに対するこの様な態度はこれまでの政治家では見た事が無い。

トランプ氏の言い分では彼の言葉を正確に伝えない、又氏と意見が異なる場合においては、事実認識が異なる全てのメディアが『フェイク』と言う事らしい。大統領の発言や真意を伝える主席報道官にも厳しい質問が浴びせられるが、大統領のお眼鏡にかなった(政権に肯定的なメディア)以外はすべて蚊帳の外である。

どの様な政府や組織であれ、少なくとも民主主義国家や組織において、全てのメディアがトップの思いのままに動くとすれば、もはや民主主義など成り立ちはしない。この様なやり方は中国や北朝鮮そしてシリア等の独裁国家を見れば明らかな事ではないか。意外にトランプ氏と中国、北朝鮮のリーダー達は同類な性格で、気が合う人達なのかも知れない。

日本のマスメディアも結構フェイクを見かける。
先日も日本のテレビ番組で紹介されていたフェイクは南太平洋のサモアが紹介された『日本のタクシーがなぜ多いのか?』と言う番組。中古車として輸入されている日本のタクシーが多い理由を『サモアは世界でも珍しく、数少ない日本と同じ右ハンドルの国』と言う解説が有った。これ等も完全にフェイクである。世界中ではアメリカやヨーロッパの国々を始めとして、左ハンドルの車を使う国の方が多い事は事実ではあるが、『日本と同じ右ハンドルの国は珍しい』等と言う事がいかにフェイクか。

イギリスも勿論右ハンドルの国である、隣のアイルランドもヨーロッパでは数は少ないが右ハンドルの国である。私達が毎年指導者講習会で訪れるキプロス共和国もマルタ共和国も同様、少し考えれば旧英国の植民地だった国は殆どがイギリスと同じ右ハンドルと言う事になる。オーストラリア、ニュージーランド、アジアの国でもマレーシア、インドネシア、インド、シンガポール他いくつもある。アフリカも英国が宗主国だった国は多く皆同じ右ハンドルである。

世界中では50か国近く、世界で三分の一以上の国では右ハンドルが使われており『世界でも珍しい数少ない右ハンドルの国!』等と言うフェイクは、日本人に刷り込みを助長している以外何物でもない。英国は日本の宗主国ではないが、交通システムとしては左側通行の英国方式を導入したのであろう。

今世界中を騒がせているマレーシアでの正男氏暗殺事件でも、これ程映像ビデオや情報が公開されているにもかかわらず、北朝鮮側の言い分は滑稽と言うには余りにもお粗末な言い訳にしか聞こえない。

この国の国民には如何に自由や人権が無視されて居るのか、世界中が見守っている事は言うまでもない。一般市民から政府高官そして外交官に至るまで亡命者が出て居る事を見れば、北朝鮮が如何に酷い人権侵害を犯しているのか子供でも理解できる。自国民のみならず、他国にも同じようなフェイク情報が通じると本気で信じているとすれば、その様な政権の将来は長くは続かないのではないかと思う。

そういえば何処かの団体も『○○○KempoはそのStyle(競技・種類)を示すGeneric Words(一般名称)である』と言う裁判結果が出た後も、『その様な裁判はやって居ない!』と主張されていた様であるが、これなども言ってみればフェイク情報では無いだろうか。

今の時代この様な情報を検証する事は非常に簡単である。『私の言う事が真実である、信じない者は許さない』もしこの様な事が本当にまかり通っているとすれば、何処かの怪しげな団体と同じ評価を下される事にもなるだろう。それがどの様な主張であれ受け取る人達の判断に任せる他は無いが、真実が明らかになった時にそれらを主張した人達はどの様な言い訳をするのか大変興味深い。

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