2015/01/15

中々見えない自画像

世界は今『シャルリ』のオンパレードの様な感が有る。言うまでも無くテロリストによって襲撃されたシャルリ・エブドの被害者に対する支援の声である。世界中にニュースが配信される今日では、本物の銃撃シーンが人々に与える影響も計り知れない程大きい事は言うまでもない。

17人もの人が短時間に殺されてしまう現実を目の当りにした世界中の人々が受けた衝撃は、東日本大地震や原発事故にも相当するインパクトが有った。勿論自然災害とテロリストの事件は異なってはいるが、単純に人々が感じたショックの度合いからすれば共に大きな事件と言えるのではないだろうか。

事件の直後に世界中から50か国を超える首脳・閣僚がパリに集まり、370万人とも言われたデモの先頭に立って連帯を訴えた事がその衝撃の大きさを物語っている。同時にやり場のない怒りと、これからも身近で起きる同様なテロに対する恐怖感に連帯する事こそがテロに屈しないと言う、一般市民と世界のリーダー達に出来るせめてもの表現(デモンストレーション)だったのかも知れない。

テロとの戦いは今に始まった事では無い。大きな転換は2001年のニューヨーク、ワールド・トレード・センターの9・11(同時多発テロ)からである。それ以前にも日本においてオウム真理教が引き起こしたテロ(地下鉄サリン事件)があった。その後のロンドンでのG8サミット期間中の地下鉄やバスでのテロや、スペインでの列車内でのテロ事件等が直ぐに思い起こされる。ヨーロッパの国々に限った事ではなく、アジアでもインドネシアのジャカルタやバリでの事件、そして北アフリカ諸国でもテロの数が多い。

そのほとんどにイスラム教過激派勢力が絡んでいる。イスラム教は日本人には馴染みの薄い宗教ではあるが、過激派(原理主義派)にとっては欧米型社会のシステム其の物に反発しているグループが多く、何処の国であっても攻撃の対象となる。日本人がこれらのテロに巻き込まれた数は少ないが、2013年の1月にアルジェリアの天然ガスプラントで起きた事件は記憶に新しい。

何故イスラム原理主義はこれ程までにテロを起こすのか? だが先ず初めにイスラム教徒とイスラム原理主義者を区別して理解する必用が有る。イスラム教徒のすべてがテロ事件に絡んで居る訳では勿論無い! 原意主義と言われる宗教であればイスラムに限った事ではなく、キリスト教や仏教(オウム真理教)でも同様の事件が過去にも起きている事を考えれば、極端な教義の解釈はどの様な宗教でも原理主義になり得ると言う事を理解しないといけない様に思う。

確かに一神教の方がどちらかと言えば過激な行動に至りやすいと言う事が言えるのかもしれないが、ここで宗教の源流をたどって行くとキリスト教、イスラム教等の一神教はユダヤ教を源として居る事が分かって居る。 共に同じ源を共有しているにも関わらず一神教を貫く両派(キリスト教、イスラム教)は共にお互いを認めようとしない人達が多い事も事実である。

八百万(やおよろず)の神々を信じる日本人からすると理解できない事なのであろうと想像する。又それが神道と仏教の共存を可能にしている日本の大きな特徴なのかも知れない。世界から見たときその様な日本人は非常にまれな宗教観を持った国民だと思う。ほとんどの日本人の宗教観は、彼等一神教の人達から見れば無宗教者であると思う。第二次世界大戦の後に連合国から突き付けられた戦前の神道イズムの否定から、無宗教者が増えた事も一因かも知れない。

学校教育の場から宗教性が消され(宗教に対する中立性が求められ)、多くの場合で宗教そのものを学習する機会は少ない事も無宗教を助長している原因と考えられる。これとは逆にイスラム教の国では学校教育の現場でも当然の事ながら宗教教育は行われている。 これらの理解無くして単に自分達の価値観を一方的に押し付けても解決の糸口は中々見えてこないのではないだろうか。

フランス政府は今回のテロを受け、国会で首相が『フランスはイスラム国とテログループ(アルカイダ等)と戦争状態になった』と発言するに至った。  フランスは国旗の三色旗が示す様に『自由、平等、博愛』を国是として来た国である。その首相が戦争状態になった事を宣言した事は本当に深刻な状態になった事を意味している。 同時にこれらのテロはフランスに限った事ではなく世界中で何時でも起こり得る事を理解する必要があるのではないか。

今回の事件を受けて人々が繰り返す『自由』と言う言葉に、時々このままで良いのか? 『報道の自由が大切だ』と言う気持ちは理解できても、その自由な表現(風刺画)により、傷つく人達も居る事を理解した上での『自由』なのであろうか私には理解できない。

イスラム原理主義者のみならず、自分達が命よりも大切と信じる存在(モハメッド)を風刺画により貶める事も表現の自由であるとの主張が、一般のイスラム教徒から理解される事は難しいのではないか。 自分や家族が同様な辱めを受ける事を考えれば、ある程度彼等(ごく一般のイスラム教徒)の気持ちも理解できるのではないかと思うが、感情が激高した今の欧米の雰囲気では中々静まりそうもない。人の事はよく見えて批判できても自画像は中々見る事が難しいのかも知れない。

4 件のコメント:

  1. harimaoh.com2015/01/20 1:23:00

    見えない自画像に思う所を投稿します。

    自分達の正当性を主張する事は良いとしても、同時にその事により他者が不快に感じる事を知って居てあえて強行(出版)する事には違和感を禁じ得ません。風刺画と言うものは単純なる笑い(ユーモア)ではなく、そこに込められたメッセージが有ります。その風刺画が見る人(イスラム教徒)に不快感を与えても当然許されると言うのも一方的過ぎる様な感じがしています。政治家がこれらの風刺画により批判の対象となる事は許容されたとしても、聖職者が同様な扱いを受ければそれらを信仰する人達が笑って許せるはずも無いと思うからです。

    自分達の主張こそが絶対に正しいと言う姿勢は逆に考えれば、それが原因で戦争になっても構わない!と言う事にも通じます。どこかの団体に似ていませんか。

    返信削除

  2.  Mさんへ

     静かなる支持者は沢山います。現状に矛盾を感じている人はもっと多くいます。でも今の立ち位置から両足を踏み出せる人は多くはありません。むしろ現状を受任しながら、自分を騙しながら、どうしょうか迷っている人が沢山いるのです。
    だからこそ、その魁(さきがけ)として立ち上がるのです。まずお互いしっかりと活動しアピールすれば必ず続く人は出てきます。そう信じています。Mさんの思いは私はよく分かりますがあせらず連携をとっていくべきだと思います。一本のマッチの火が山を焼き尽くすことがあります。蟻の一穴が土手を崩します。でも我々は相手を倒すことを考えてはいません。自分の考える道をしっかり創ることだけです。もはや張子の虎となった組織を恐れることはありません。ご健闘を心から祈ります。
                  
    いじめられずいじめないと指導する教育団体を自称する宗教団体が人をいじめてどうするの!まったくわけの分からない団体になってしまいました。そんなに名利に執着があるのでしょうか。情けないですね。




    返信削除
  3. Harimaoh.com さん投稿有難うございました。

    この投稿を頂いた今日イスラム国(ISIS)から大変なニュースが伝えられました。日本人が2人Youtubeの動画にて捕虜として2億ドルもの保釈金を要求され、それにより首相は外遊予定を切り上げ帰国すると言う事件です。

    過去に連合赤軍が同様な事を要求して超法規措置により海外からひんしゅくをかい、その事件は世界中で有名になりました。当時の日本はテロリストが相手でも取引をすると言う事が伝えられ、世界の価値観とは相容れないものでした。

    時は移り何十年も過ぎた今日でも、日本人は世界の価値観とは異なった判断が示されるのか、世界は今日本政府の対応を固唾をのんで見守って居ます。一度出来上がったイメージはどの国であろうとそれを覆す事は非常に困難な事は言うまでも有りません。
    脅せば金を出す、残念ながらこの様なイメージを持たれているとしたら、これからも同様なテロが日本人に対して起きるような気がします。

    この事は自分達だけの価値観が必ずしも世界では通用しない事を、多くの人達は認識する必要があると思います。Harimaohさんがいみじくも指摘された、どこかの団体の指導者には是非聞かせたい思いです。

    返信削除
  4. 匿名さん Mさんへのエール有難うございました。

    私も同意見です。静かなる支持者は多いと思います、なぜならば自分達が拳法を始めた当初のそれとは、まったく異なった事を平気でする団体に成り下がった組織に対する感情は、たとえ直接的な行動はとらない拳士にしても心情的に我々の行動を支持する人達は多いのではと想像します。

    『魁として立ち上がる』と言われる言葉の重み、どうか良い見本となって頂ける事を願ってやみません。何時の日にかこの場にもそれを堂々と発表して頂ける事を期待しております。

    『張子の虎となった組織を恐れる事は無い』多くの指導者に届けたい言葉です。自分から進んで張り子の虎の一翼を担うのか? あるいは自らが先駆けとなり明かりを灯し方向を指し示すのか? 開祖が作りたかった人材はどちらだったのでしょう。

    返信削除