2014/09/12

英国少林寺拳法連盟40周年について思う (5)

除名処分と言う結論を受けBSKFの支部長会は商標登録をする事を決断した。
この問題にしても話し合いが持たれていればWSKOとBSKFが訴訟問題にまで至る事は無かったであろう。 我々が目指した名称登録はBSKFと言う団体名を登録する事が主題であったが、支部長達の結束はこれまでになく強固なものとなっていた。 私が口を挟むことも無く彼等が努力して集めた資料の中には、過去40年の膨大な資料の中から重要な証拠となる書類も含まれていた。 時代の最先端を生きる彼らの協力無くしては証拠書類収集のみならず、無報酬で係争を引き受けてくれる法廷弁護士も見つからなかった事であろう。 彼等はWSKOが依頼した弁護士事務所より何倍もの素晴らしい働きをして、想像以上の果実をBSKFとその拳士達にもたらす事となった。

2013年6月、英国のIPO機関はBSKF(British Shorinji Kempo Federation)の名称登録は全く問題が無い事を言い渡した。 少林寺拳法ユニティはそれに対して高等裁判所に不服の申し立てをした。 上告と言う判断は組織の面子に掛けても仕方がない事なのかも知れないが、この様なケース(国外での訴訟)には莫大な費用が掛かる事を考えると、最終的にそれらコストのつけは拳士一人一人に回って行く事は子供でも容易に理解できる。

2014年5月、英国の高等裁判所は我々が想像(期待)した以上の判決を下した。それは「少林寺拳法はゴルフや柔道と同様、『一般名称』である」と。当初のIPOが示したBSKFの商標登録どころか『Generic name(一般名称)』の判断が示された事で、WSKOと少林寺拳法ユニティが失ったものは非常に重大であると言わねばならない。『一般名称』と言う事が英国内は言うに及ばず世界中で広まる事になれば影響は計り知れない程重要な意味を持つ。

言うなればこれまでは少林寺拳法を離脱した人達や、その人達が立ち上げた武道のグループのみを監視して居れば事足りたであろうが、今回の判例が示す様に少林寺拳法は1 Activity(活動・競技)とされた事により、過去とは逆にあらゆる武道グループが少林寺拳法を名乗る事が可能となった訳である。パンドラの箱は開いてしまったと言う事だ。我々にとっても決して喜んでばかりでは居られない状況である。いったん開いたパンドラの箱は閉める事が出来ない、今後出現が予想される目を覆いたくなる様な少林寺拳法家が表れたとしても決して驚くまい。その様な事態にまで至る判断を下した者が何の責任も問われないとすれば、今後の組織運営は大変難しい舵取りが予想される。

2014年8月30日、英国少林寺拳法連盟は40周年の記念大会を催す事となった。
この大会には日本やヨーロッパ各国から拳士が駆け付けてくれ、大変充実した記念大会となった。多くの困難を乗り越え、私費で海外から参加頂いた指導者や拳士諸氏には心から敬意と感謝の言葉をお伝えしたい。私を含めBSKF の拳士達はこの熱い協力と友情を忘れる事無く、これからも40周年で示された情熱を力に変え、拳法グループの発展に邁進して行く覚悟である。 同時に各国から集まったリーダー達はこれを機に今後の協力も約束して、お互いに発展して行こうと誓いを新たにした。

少林寺拳法の開祖 宗道臣が書いた1冊の本から始まった私の拳法人生も、英国の地で40年を数えるに至り感慨深いものがある。最後にここに至るまでの道程で非常に多くの人々の協力を賜った、改めてここに感謝の意を表明したい。同時に今後共ご指導とご鞭撻をお願いして、後に続く拳士諸氏にも私同様暖かく見守って頂きたいと願うものである。

結手

8 件のコメント:

  1. こんばんは日本本部からの除名処分は英国で少しでもおかしい事を起こす事なく日本人、宗道臣管長の教えを正当に伝え、教えてきたのが今になったt思います、英国少林寺拳法連盟が目の上のタンコブになったんでしょうかね?良い門下生、拳士が育ったんですね。健闘を祈ります。sxohtori2

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  2. Sxohtori2さん 投稿有難うございました。

    お蔭様で無事40周年の記念大会並びに講習会を滞りなく催す事が出来ました。私が企画した訳でもなく、拳士一人一人が素晴らしい運営をしてくれました。

    この企画自体当初は予定もして居ませんでした。昨年日本の友人から40周年の記念大会をやらないのか?と言われ、それが切っ掛けとなり実現に至りました。今はやって良かったと心より思っています。
     
    これまで少林寺拳法の歴史の中で海外において、40周年を祝った大会はインドネシア連盟とBSKFだけだと思います。勿論BSKFより長い歴史を持った国の組織は有りますが、それを催した記録は見当たりません。

    今回の大会が実現できた大きな背景は、少林寺拳法を愚直に追求してきた拳士達の力だったと思います。それ以外の要素は振り返ってみても考えられません。私がそれを催そうとしても拳士の協力無くしては不可能な事は明らかです。

    この場をお借りして今一度今回の大会を成功裏に導いた全ての参加者に心よりお礼を申し述べたいと思います。同時に私達はこれからも国籍、加盟組織、組織名称、人種、宗教等関係なく、志を同じくする人達と協力して少林寺拳法の普及に努めてまいります。今後共変わらぬご支援をお願い申し上げます。  結手

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  3. 遠いヨーロッパの動きに目をみはりながら、楽しく読ませて頂いております。

    BSKFは、英国40周年記念大会を成功させ、粛々と実績を積み上げております。
    インドネシアがWSKO脱退を、表明すれば、世界の少林寺拳法は、国際組織の再編成に進みます。

    世界はさておき、日本はどうなるのか?

    心配する事はありません、お家騒動に見切りをつけて、他武道を探しましょう。
    日本には、開祖宗道臣の説かれた、三徳(護身練胆、精神修養、健康増進)を備えた武術がたくさんあります。
    良い先生を見つけ、修練(シュウレン)を重ねる事に、心の安らぎが持てるよう、愚直に励めばよいのです。

    一番の問題は、カッパブックスを読んで少林寺拳法を始めた人たちです。
    強くなりたくて始めた彼らに、宗教だ、信仰だと言っても、ピンと来ません。
    また、彼らは、損得抜きで、少林寺拳法が大好きです。今更、宗旨替えなどできません。
    それに、彼らは高齢化しています、体が動いてもあと5年です。
    日本では、最近、多くの道院が店じまいをしました。
    あと5年、楽しく少林寺拳法が出来る環境が出来ないものかと思います。
    7~8年すれば、彼らの体は動きません、昔話に花を咲かせて下さい。
    全国に「居酒屋少林寺拳法(床は柔法マット、会員制)」を開店しましょう。
    多少暴れても構いません、アザが出来ようが、手首が腫れようが、それをケガだと思わない連中です。
    圧法に、悲鳴を上げながら、快感を覚える連中です。
    10年すれば、『好いおじいちゃんだったね』と孫に言われ、ご先祖からの墓に納まります。
    私も、そんな彼らの一人です、
    あと10年、昔(拳法)の友人がそのまま友人であり続けれるような、理想郷建設にまい進します。

    若い方は、開祖の言葉をかみしめて、広く武術を学んで下さい。
    日本文化のすばらしさが、少林寺拳法のなんたるかが分かります。
    少林寺拳法は、何百年の歴史を持つ他武道と比較すれば、たった60年です、
    武術として残すのであれば、磨きをかけるのはこれからです。

    ご隠居拳士より

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  4. ご隠居拳士様 コメント有難うございました。

    居酒屋少林寺拳法きっと行きたい店になると思います。私もカッパブックスを読んで少林寺に入門した一人ですから、コメント通りの拳法バカです。 同じ目的で楽しんできた人達は本当に多いと思います、ですから居酒屋少林寺拳法を提案された気持ち良く分かります。今更宗旨変えが出来ない連中ばかりですからね。

    若い人達にも我々と同じ楽しみを味わってもらいたいと切に願うものです、その意味も含めてBSKFは武道である少林寺拳法にこだわりました。 
    日本国内の指導者にも、可能であれば武道としての少林寺拳法を次世代に残したいと思っている人は結構居ると信じます。

    宗道臣の教えを伝えて行く覚悟を持った指導者であれば、日本国内ではたとえ少林寺拳法と名乗れなくても技術のDNAは残せるのではと思います。

    貴方が若者に言われた「良い先生を見つけ修練を重ねる事に、心の安らぎが持てるよう、愚直に励めばよいのです」同感です。
     団塊世代の老いぼれはおっしゃるようにあと5年体が動く事を願って、その間に若い拳士達に宗道臣の残した武道としてのDNAを植え付けましょう。

    その様な人達にも居酒屋少林寺拳法は開放して下さい。 結手

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  5. 久しぶりに楽しいブログを読ませてもらいました。人生の半分をかけて頑張ってきたのにこんな状況になるなんて、と悶々としていましたが、ずいぶん楽になりました。
    これから残りの十年を自分で考え、自分で行動して楽しみたいと思います。
    指導者が楽しんでいないのにどうして指導を受けるものが楽しめることなど出来るでしょうか。居酒屋少林寺拳法があちこちに沢山出来てほしいですね。
    水野先生、我々の知らされていないことをもっと発信してください。
                     

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  6. 投稿有難うございました。

    少林寺拳法の門をたたいて50年が過ぎた事になります。本当に多くの人と出会い色々な経験を致しました。拳法を続けて来なければ出来なかった事は明らかです。キザに聞こえるかも知れませんが我が拳法人生に悔いはありません。

    残りの人生楽しく続けられる拳法でありたいものです、間違っても自分の心にだけは嘘をつかずに!。楽しい少林寺拳法であったものを復活させるのも我々の責任かも知れません。勿論それは無理に少林寺拳法と名乗って苦しみながら続ける少林寺拳法であっては意味がありません。

    楽しく!楽しく!気の合う仲間と続けて行けば良いのではないでしょうか。 そんな中で宗道臣の残したスピリッツを伝えて行けば、私達が経験してきた正統少林寺拳法を次世代に残せるのではと思います。名前だけ引き継いでも中身の伴なわない少林寺拳法であれば意味は無いと思うからです。

    日本正統少林寺拳法と呼んでいた当時の拳法を次世代に託したいものです。 是非いつか『居酒屋少林寺拳法』でその様な仲間と話しがしたいですね。
    結手

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  7. 飲会主体の「居酒屋少林寺拳法」の整備には、少し時間がかかりますが、
    練習主体の「ご隠居少林寺拳法」は、すぐにでも始められます。

    元道院長には、地域の青少年育成活動に協力し、教育委員会から感謝状を頂いた方もおみえです。
    施設の管理者からは、「少林寺拳法さんが使うと、施設がきれいになる」とおだてられ。
    (裸足で、転げまわりますので、床の清掃は必須です)
    「少林寺さんに使用を申請されれば、断る理由は無い」とまで言って頂いても、
    我々の都合で、使えなくなりました。
    現場では何の問題もなかったのです。
    ここが、休止道院の割り切れない悔しさです。

    これらの施設を活用すれば、すぐにでも可能です。
    昇級、昇格という、浮世の肩書きから身を引いた、隠居にはたやすいことです。
      ただし、「ご隠居少林寺拳法」の名称に関し、少林寺拳法ユニティより警告があった場合は
    係争にせず、「少林寺流拳法」「少林寺風拳法」「少林寺傳拳法」等々、次々と変え柔軟に対応しましょう。
    このように、受け流し続ける事が、少林寺拳法を「好い思い出のまま残すための知恵」であり、
    未来を後輩に託す先輩(表舞台を捨てた隠居)の生き方です。
    隠居とはいい加減を知り、良いバランスの中で、限りある人生を謳歌する事です。

    酒も程よく回ってきました、本日は就寝です、おやすみなさい。
    ご隠居拳士より

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  8. ご隠居拳士様引き続きの投稿有難うございます。

    迷称『ご隠居少林寺拳法』は楽しそうです。 多くのご隠居少林寺拳法支部が出来ると良いですね。ついでに年齢制限(15歳以下入門不可)を付けたらどうでしょう(冗談ですが)。

    一人でも多くの若者に少林寺拳法のDNAを残す事(失礼!ご隠居少林寺拳法でした)は、ご隠居少林寺拳法指導者に課せられた最後のお勤めかも知れません。

    ある意味比較的身軽に動く事が可能な事も、ご隠居少林寺拳法指導者の特徴ではないでしょうか。ご隠居少林寺拳法の指導者には公共施設やカルチャーセンターも寛大に場所を提供してくれる事でしょう。

    練習の後は『居酒屋少林寺拳法』で当日の練習を振り返りながらビールを楽しみ、より深い技の探究に話が弾みそうです。

    またの投稿期待しております。  結手

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