2010/06/22

世界基準が試される日本社会

工業製品を世界中で販売する為には、個々の製品に付き販売される国の規則や基準を満たしている事が重要な課題である事は言うまでもない。

一般の人が使う工業製品ばかりではなく、最近では国家的プロジェクトにまで国際規格が基準として前提となる事を、新幹線や送電等のインフラ設備でも必然である事を知った。

日本が誇る新幹線技術を世界中の国に売り込む際にも、国際基準が適用されると言う事らしい。
これとは別に車や電気製品などは、当然の事ながら売り込む国の規格や法的基準に達して居なければ製品の販売さえ行なえないことになる。

日本のメーカーは日本国内に人口が多い事で、世界に売る前に国内のマーケット シェアが優先される事も重要な案件のようだ。この事が決して悪い訳ではないが、世界に目を向ける前に国内マーケットのシェア争いが優先されるという事になると、その事が起因となり外国メーカーとのシェア争いに負ける事が度々起きている。

今一つ日本人が陥りやすい問題として、技術至上主義がある。技術的に優れた製品であれば、世界中でライバルに絶対に負ける事は無い!と信じている技術者や経営者は居ないだろうか。

何故この様な事を感じたかといえば、日本と海外のマーケット需要が、異なる事情を見逃してい居るように思った事が度々があった。

例えば優れた信頼性を誇る日本の電化製品では有るが、洗濯機を例に取ると日本での使い方は殆んどの家庭が風呂場に洗濯機を置くことが普通である。

我が家に来た日本の人達が少なからず、キッチンに設置された洗濯機を見て驚く光景を目にした事がある。彼らの感覚(常識)では洗濯機置き場、イコール風呂場又はその近く!と言う事に原因があるようだ。

しかしながら、欧米ではその設置場所のほとんどが台所、つまりキッチンである。当然の事ながら使い勝手も異なり、ワークトップの下に洗濯機が収まるように出来ている。結果洗濯物の出し入れは、前方にあるガラスのドアを開け閉めして行なうのが通常である。

この環境の違いが原因かどうかは不明だが、結果として日本メーカーの洗濯機が売られている店は無い。韓国のメーカーはここでも存在感を見せ付けている。

洗濯機に限った事ではなく冷蔵庫やテレビに至るまで、このところ日本メーカーのマーケット シェアはヨーロッパのメーカーばかりで無く韓国、中国のメーカーからも追いやられているような印象を受ける。

これら白物家電と言われるローテク製品は、韓国や中国製品に技術的に勝てないと言う訳ではないと思う。現に高価格製品はドイツ等が根強いマーケットを維持している。

薄型テレビの世界でもいつの間にか量販店には、韓国製のサムソンやLG製のTVが数多く展示される様な時代である。先に述べたように日本人の考え方のどこかに、日本製品のほうが絶対に高品質だ!少々価格的に高くても高品質の日本製品が必ず売れるはずである、と言う思い込みが無いだろうか。

確かに日本のTVはかつて世界中を凌駕し、TVと言えば日本の製品が圧倒的シェアを誇っていた時代が有った事は確かである。しかし時代は変わり韓国や中国が技術的に日本製品に近い物を造れる時代である。細かな技術的優位性では日本製のTVの方が上かもしれない。

しかし多くのコンシューマにとって一見何の不都合も無い(殆んど見た目に差が無い)韓国製や中国製品が、より低価格で買えるとなればそれを買う方が自然の成り行きではないか。

かつての日本メーカーも同様に、世界中のマーケットで先行するアメリカやヨーロッパの製品と戦い、勝ち残って成功を収めてきたではないか。高品質であれば売れる!必ず勝ち残れる、そう信じては居ないだろうか。確かに品質は高いに越したことは無い。しかし一般的な消費者心理はそれ程単純ではない。

低価格の商品を必要とする途上国や、先進国の中にもそれらしか買えない人達が多く居る現実から目を背けては居ないか。ましてや日本人ではない彼等が日本製品か韓国製品か等はどうでも良い事で、バリュー フォ マネーが優先される事は言うまでもない。

最近では量販店で展示されている韓国製TVと、日本製TVの価格の差はほとんど無くなっている。しかしながら為替相場がコストに占める利益率は無視できない要因で、これが原因となるコスト パフォーマンスは日本製品には不利に働くようだ。

ウォン安と円高の現状が簡単に解消されるとは思われない、為替差益で韓国製TVが、日本メーカーのTVと同じ価格で売れたとすれば、売り上げから得られる利益は(インセンティブを含め)韓国製TVの方がより大きくなる事は当たり前である。

量販店が利潤を追求してより多くの韓国メーカーの製品を展示したとしても、仕方の無い市場原理ではないだろうか。この様な現実を見ても日本の人達は技術的優位が必ずマーケットを支配すると考えるのであろうか。

もしそうであれば、そこには世界の常識とは異なった価値観が存在するとも言えるのではないか?

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