2010/05/27

マグロと鯨

3月18日カタールはドーハにおいて、ワシントン条約締結国会議が行なわれた。

今回の議題は大西洋のクロマグロを絶滅危惧種に指定して、国際商業取引を禁止させる事が、モナコの提案であった。それに対してEUとアメリカが賛成に回り、クロマグロの最大の消費国日本が反対すると言う、日本を取り巻く環境が捕鯨問題と同じ様な雲行きになってきた事である。
鯨は原則として商業捕鯨が認められてはいない。鯨資源の有効利用を取り決めるはずのIWCが、グリンピース等の環境保護団体に乗っ取られてしまい、これまでにアイスランドやノルウェー等の捕鯨国は脱退してしまった事は以前にも書いた。

唯一捕鯨国では日本がメンバーとして加盟しているが、反捕鯨国の政治力に押され、日本が中々商業捕鯨再開に漕ぎ付けるまでには程遠い状態である。

毎年繰り返される調査捕鯨に対してさえ、環境保護団体(実は環境テロリスト)シーシェパード(SS)による暴力的プロテストには、ほとんどの日本人が頭に血が上っている事であろう。

その様な状況下で、今度はクロマグロと言うわけである。そもそもワシントン条約は絶滅危惧種を保護する為の条約である。確かに大西洋でのクロマグロは日本向けに畜養(養殖)されているわけだが、本当の意味での卵から孵した完全養殖とは全く異なり、天然物の幼魚を捕まえて、付加価値をつけるために太らせる(大きくする)養殖マグロである。これでは養殖と言っても天然資源を枯渇させる方向に向かっている事は事実であろう。

そんな中で開かれたワシントン条約会議において、日本はこれまでに無く上手に政治的立ち回りを演じた。その結果モナコが提案した大西洋クロマグロ取引禁止の法案は否決され、結果的に25日に廃案となった。
しかしである、捕鯨問題と何が似ているかといえば、そもそもクロマグロの畜養の目的は、最大の消費国である日本への輸出を対照にして、ビジネスそのものが成り立っていると言う事にある。

勿論欧米人もマグロを食べるが、価格的に日本へ輸出対象となるマグロに比べたら、生魚(刺身、寿司ネタ)とは異なり、缶詰等保存の効く程度の鮮度で利潤も少ない。よって勢い日本を目指した畜養の為に、幼魚を乱獲すると言うことが繰り返される。

今回のワシントン条約での成功(廃案)で、一時の時間的余裕は生まれたが、今後も日本に対するクロマグロ資源の保護と言う圧力は、増すと言う事を真剣に捉えないと、捕鯨の二の舞になる日も近いのではないだろうか。

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