2010/04/12

トヨタ バッシングとは

アメリカにおいてトヨタ車の暴走が問題となり、米政府公聴会にトヨタの社長を呼んで政治ショー(国がスポンサーのワイドショー)を公開の場でやった事は前代未聞の珍事と言わなければならない。

常識的に考えても、いくら経営者に責任が有るとは言えトヨタの社長が技術者よりも車の技術的要素に詳しいとは考えられない。

本来の技術的欠陥を証言させることが目的であるならば、当然経営者よりも問題となった車両を設計した技術者を呼ばなければならないはずである。

問題となる部品や設計上の欠陥があるとすれば、それを証明できるのは事務方のトップ(社長)ではなく、技術畑の責任者ではないか。 

その様な場所に技術的な説明が出来ない社長自身を呼びつけ、公聴会と言う政治ショーをやった事にアメリカ政府の隠された本当の目的があったように感じられる。

前代未聞の政治ショーと皮肉ったつもりは無い、なぜならばアメリカ国内で取り立たされている車の暴走や火災等のリコールは、過去数年を検証してもトヨタ車よりもフォードの方が多い!GMやその他のメーカーでも少なからず報告されている実態は、今回のトヨタ暴走事件ほど大きく扱われていない。

このところ政権が代わった日本政府と、何かと歯車の噛み合わないアメリカ政府との構図は、普天間の問題ばかりではなくアメリカ政府の方針に快く従わない政権には、どこの国であれ武器(戦争)か、お金(経済的制裁)で従わせてきたのがアメリカと言う国のやり方である。

卑しくも同盟国と言っている国(日本)には武力で言う事を聞かせるわけにはいかない。しかし経済制裁であれば何とでも理由は付けられる。

言うまでも無くトヨタは日本のナンバーワン企業である。言ってみればトヨタの様な超優良企業(日本の稼ぎ頭)でも、『この様な事はいつでも可能だよ』と言うデモンストレーションと見ることが出来るのではないか。

政治家でも過去に日本国内では何の問題にもならなかった人達が、アメリカからの思わぬ情報リークにより失脚させられた事件は何度もあった。彼の国は今でも世界の超大国であり、世界を意のままに出来ると信じている人達が政治家を含めかなりの割合で居る。先の『007を地で行く』でも触れたがアメリカ国内の知日家と呼ばれる人達が、決して親日家とはイコールではない。

日本の事を研究している人達の中にも、日本の問題点(弱点)ばかりを研究しているグループが存在する事を知るべきだ。このグループのリポートは米政権にとってはとても便利なツール(道具)である事は今更言うまでも無い。 どんな良い関係の国であっても、個々の問題では対立する案件も時には出るのが普通である。ヨーロッパの国はもう少し品よく(ずる賢く)立ち回るので余り直接的な反発が出る事が少ないが。

アメリカは合衆国の名が示すように、個々の文化的背景が異なる人達の集合体で有ることから、より分かりやすい直接的な表現(やり方)が好まれるのかも知れない。しかしこれは世界中の反発を食らう危険性は常に秘めていると言わねばならない。

ニューヨークで同時多発テロがあったとき、『どうして世界に貢献している(そう思っている国民が多い)アメリカがこの様な報復を受けなければならないのか』と、顔をこわばらせて不満を言っている市民がニュースで出たことがある。おそらく本人にとっては正直な意見であろう、しかし現実の世界情勢はアメリカの貢献を、おせっかいと思っている国や、政治的介入で横車を押し付けると感じている国も少なくない。

奇しくも公聴会の席に立ったトヨタの社長に、『わが国の司法制度にも問題はある』(訴訟王国と言う評判を気にしてか)と言い訳したのは皮肉と取られても仕方の無い事かもしれない。

少し古くはマクドナルドのコーヒー事件が有名であるが、あの様なケースは日本やヨーロッパでは訴訟沙汰には決してならないであろう。火傷をするような紙コップのコーヒーを膝で挟んでこぼし、結果として火傷を負った被害者?が売った店を裁判に訴える事など想像も付かない裁判である。又その結果として多額の賠償金が被害者に支払われた事を聞いた時は、何とおかしな司法制度を持った国かと驚いたものである。

その様な事実が世界中に知れ渡っている事を恥じた発言かどうかは不明ではあるが、裁判沙汰や訴訟王国はアメリカと言う国にとっても名誉な事ではないと思うが、当のアメリカ国民がどう思っているかは不明である。

この様な見方をすれば、今回のトヨタ問題も個人レベルではリコール問題に便乗したクレーマも充分考えられるし、国レベルでは日本政府に対する『最優良企業でもたたくぞ!』と言う、強圧的デモンストレーションと言えないことも無い。

さて、これに対する日本政府の出方は?普天間を海外か県外に移すことさえ決められない政府ではどうしようもないのかな。

2 件のコメント:

  1. ohtori2010/04/18 4:17:00

    今日はこの件では日本人は可笑しいとほとんど
    の人は感じていると思います。私の時代は
    アメリカな自動車をアメ車と言ってましたが
    その時代はアメリカにあこがれがあったと
    思い、あの大きい車を見てましたが、雨漏り
    はする、直進性は悪いと聞いてました、覚えが
    あります。プリウスの件で欠陥隠しと、
    いう事で制裁金15億にきまった事も変だし、
    ラジオ放送でなんとなく耳にしたことで牛肉を
    今以上買うようと流れ、これもヘンと思うし、
    普天間移設で進まないのは、遅いというより、
    根回ししないでその時の考えで話す繰り返し
    で、このことでアメリカが今になってるんですかね。戦後から同盟国できてこんなやり方はないんじゃないですかね。早くいい方向にと思います。

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  2. Ohtoriさん 投稿感謝しております。

    日本を代表するトヨタと言う企業は、言い換えれば戦後日本のサクセス ストーリーを代表する企業とも言えます。

    部品点数が3万点を超える自動車は、どこの国の車であってもリコールの対象となり得る事は、これまで数多くの自動車メーカーが実証しています。
    現にトヨタのリコールバッシングが大きく取り上げられた後に、フォードやGMそして日本の他メーカーからも続々とリコールの届けが出ています。

    今回は暴走した事件で死者が出ていますので、アメリカも見過ごすことが出来なかったのかも知れませんが、原因が部品の欠陥にあったのか、車の設計にあったのか、フロアマットの使い方にあったのか、等など検証すべき事は沢山有るはずです。その結論が出される前に有罪ありき!の公聴会までやった事に疑問の余地は無いのか?と思い、米政府主催のワイドショーと表現したわけです。

    ワイドショーが日本車(トヨタを代表とする)のイメージダウンを狙ったものか、日本政府に対する圧力(早くアメリカの言う事を聞かないと、今度はお前だよ)と言うデモンストレーションなのかは、現時点では不明ですが、いずれにしてもある程度時間が経てば、答えが出てくるのではないでしょうか。

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