この二人抜きと言う技は、複数の抜き技を組み合わせた総称である。『諸手突抜』や『三角抜』又は『諸手巻抜』『諸手輪抜』と言う技等で如何にうまく相手の力を利用して複数の抜き技を使い、最後は剛法で決める技とも言える。
この様な護身術としては非常に有効な、また現実味のある複数の敵に対しての対処法としての抜き技なのだが、現在の演武競技を対象とした少林寺拳法の練習では多くの指導者にとって関心の薄い技なのかもしれない。
武道としての技術を考えてみれば護身の意味するところは非常に重要だと思う。我々が教えられてきた少林寺拳法を修練する事によって得られる三徳『護身練胆、精神修養、健康増進』を考える時、護身の技術が忘れ去られて良いと言う事にはならないと思う。
その様な理由から今回は二人抜きを選んでみた。順序として技の組み合わせで使われる諸手突抜や三角抜そして諸手輪抜、巻抜を理解しておく必要がある。
最初の足捌きは両側から引っ張る二人の相手に対して、より力の強い方に寄る事。これはそれ程難しくはない。(力の弱い方に寄る事は難しいが。)
何故ならば合わせて2人の力で弱い相手を引っ張る形になる。足捌きと同時に寄った側の腕が鈎手になる事も重要な要件である。
次に素早く鈎手を解き(腕を伸ばし)逆側の相手に諸手突抜又は三角抜で抜くことが可能となる。最初の鈎手で自由に動ける範囲(腕が伸びる距離)を利用する事が可能となるからである。(詳しい動作は下の動画を参考にしてほしい)
最初に突抜又は三角抜で抜いた手で金的打ちを加え、もう一方の相手に寄足でより、諸手巻抜をして連攻撃を掛けると言う一連の動作である。確かに組演武ではやる事も無い技なのかもしれない(?)が、武の要諦としては面白い技では無いかと考える。
(サイプロス指導者講習会の映像から)
しっかりとした技を指導されていることに敬意を表します。
返信削除二人抜きは何故なくなってしまったのかわかりませんが、
護身術の場面としては十分にあり得る話です。
二人から拉致されるようなシーンは容易に考えられます。
女性が二人から襲われると仮定してみればよく分かります。
私は両サイドから持たれた時は足刀を使って難から逃れますが
先生の方法では、敵との距離が近い場合は絶対有利です。
かつて、古参の先生の一言「一本背投げなんか使えない。」で、
伝統的な頭上で真っ逆さまになる豪快な一本背投げはなくなって
相手の背中で大車輪をするような陳腐な背投げに変わっていきました。
私は突きを受けた際の水月への有効な当身があれば投げられると判断しています。
私は雑技団のような技を追求する気はありません。
見せる技、見せる演武でなく武道としての道を歩いていきます。
どうか先生、真の少林寺拳法を維持発展させてください。
乱文ですが、思いをかきました。ありがとうございます。
拳法一直線
返信削除拳法一直線さん
投稿有難うございました。早い段階でコメント頂いた事に驚いています。
ご存知のごとく少林寺拳法の技も時代の変化と共に様変わりしてきました。その様な中で何が大切か?そして何を次世代の拳士に残さなければならないのか?常に自問自答しているのが昨今の私です。
拳法の技に限った事では無くどんな競技やスポーツでも常に進化する事は大切です。同時に変えるべきところと変えてはいけないものも有ると思います。武道で言えば護身の意味するところは、時代は変わっても大きな課題であろうと考えます。
その上でより有効な方法があれば変える(取り入れる)事もやぶさかでは無いはずです。問題が有るとすれば競技の為の安易な選択(採点しやすい技)等を中心にとらえ、そこから外れた技は不必要と排除する事では無いでしょうか。
武道本来の目的を考えれば技の選択もより一層の慎重な選択が必要ではないかと思います。
又の投稿を期待しています。